【石井啓一国土交通大臣インタビュー(後編)】 生産性革命は「前進の年」に
2017/01/06インタビュー
建設メール
―先月22日に閣議決定した17年度予算案を受けた今後の社会資本整備の方向性について
石井 これからの社会資本整備においてはストック効果を最大化していく戦略を確立していきたい。ストック効果を速く、大きく出していくために事業の進め方を工夫していく。具体的には民間投資の誘発や複数事業を一体的に実施する「賢く投資」する取り組み、施設の利用効率を向上させる「賢く使う」取り組みを徹底することでストック効果の最大化を図っていきたい。こうしたストック効果を重視した社会資本整備を計画的に進めるためには安定的・持続的な公共投資の確保が何より重要と考えている。このため17年度の国土交通省関係予算案で公共事業費については前年度を20億円上回る5兆1807億円を確保した。今後とも真に必要な事業に重点的かつ計画的に取り組んでいきたい。
―生産性革命元年の総括と17年の展望について
石井 昨年は生産性革命元年と位置付けて国土交通省生産性革命本部を設置し、生産性向上につながる取り組みの先進事例として20のプロジェクトを選定した。生産性革命元年の取り組みとしては幅広い国土交通行政における今後の政策展開の基礎づくりができたと考えている。今後は選定したプロジェクトのさらなる具体化を進めるとともに、生産性革命の考え方を国土交通省の施策全般に組み込むために、本年は生産性革命「前進の年」としたい。
―無電柱化の推進について
石井 無電柱化は①道路の防災性向上②安全性・快適性の確保③良好な景観形成―の3つの観点から非常に重要な施策。わが国で無電柱化がなかなか進まない主な要因はコストが高いこと。国土交通省では関係者と連携してケーブルを直接埋設するなど低コスト手法の導入に向けて取り組んでいる。昨年12月9日に議員立法で無電柱化の推進に関する法律が成立し、無電柱化への期待が高まっている。まずは有識者から幅広く意見をいただいた上で、法律に規定された無電柱化推進計画の策定に取り組みたい。インバウンド観光の受け入れや首都直下地震などへの災害に備え、これまで以上に無電柱化の推進に努めたい。