現場が抱えるジレンマ⑩ 現場と図面の差異-施工会社の負担増に
2015/04/01特集企画/PR
建設メール
「現場と違う測量設計の図面が来て、施工会社でプランニングし直さなければいけない場合がある。それなりの報酬で優秀なコンサル技術者を育ててほしい」。長野県の契約における重要事項を審議する『契約審議会』。2月10日の会合で、委員の一人である長野県建設業協会の藏谷伸一会長が意見を述べた。
会の事務局を務める県建設政策課技術管理室の丸山義廣室長(当時)は「業務委託成果品の品質確保は重要。委託部門の失格基準価格について改定(引き上げ)を進めたい」と回答した。
現場と図面で起きる差異の問題。県北部の建設会社社長は「机上と現場は違う」と話す。「現場を見ないで設計されると、道は作れないし地下水が出てくる」という。
『役所の技術力』を問題視する建設会社社長もいる。「昔は役所に技術力のある主(ぬし)がいて、業者を指導していた。しかし技術職が減って技術力も落ちた。だから間違った図面を見抜けない」。県の油井均建設技監も「発注者の技術力向上が必要。図面を見て瑕疵を見抜けるようであるべき」と話す。
しかし、難しさもあるようだ。前出の社長は「俺たちは地元で根を張って生きているから、図面を見ればおかしい部分がわかる。でも他の地域から異動してきた役人はわからない」と嘆く。現場と図面の差異を役所に伝えることで設計変更になるものの、工期は延長されないまま。結局、負担は施工会社に来るという。『主(ぬし)』が存在しにくい時代。差異の整合に向けた最良の手法は、まだ見えていない状況だ。