【働き方改革】 石井国交相へ技術者・技能者が現状伝える
2017/02/22建設時事
建設メール
建設業で働き方改革を進めるため、石井啓一国土交通大臣と建設業に従事する技術者2人および技能労働者6人による意見交換会が21日に開かれた。出席者は30代から40代で、労働時間、休日確保、若者・女性が働きやすい環境整備などに関して石井大臣が直接現場の生の声を聞いた。
まず労働時間について現場監督をしている技術者の2人は、月の残業時間が30~40時間で、現場終了後に書類整理や内勤の仕事があると説明。一方で技能労働者は基本的に残業がほとんどなく、月に1回、年間で数回との回答が多かった。ただ繁閑の差が大きく、工期が厳しい現場の場合は残業よりも休日出勤が発生することがあるとした。また、左官のような内装仕上げは、全体工程の遅れのしわ寄せから工期が短くなると残業が発生する場合があると伝えた。
休日確保に関しては、技術者は基本的に週休2日が確保できているものの、多くの現場は土曜日も稼動しているため、月単位で現場の出勤状況を管理しローテーションを組んで平日を休むなど、ほぼ週休2日となるように社として取り組んでいることを説明した。技能労働者は基本的に日曜日が休みであり、週休2日には至っていないとの意見が大半を占めた。祝祭日の休みについては元請業者によって対応が異なるという。技能労働者の多くは日給制または日給月給制であり、土曜日を休んだ場合は給料が減るため、給料が上がらない限り休める環境ではないという現状を伝えた。
若者・女性が働きやすい職場環境では、現場作業は朝早いことが悩みであるとし、基本的に現場は8時から始まるが、現場を選べないため自宅からの距離が遠くなることもあり、若者にはきつい環境であると指摘した。
また、現場で技能を伝承し若手技能者を育成しているものの、優秀な技能を身に付けても連動して処遇が上がっていかない現実があるため、改善が必要との声もあった。
トイレ環境に関しては、規模が小さい現場では改善されていない場合が多いとし、「(快適トイレの普及など)取り組みをもっと進めていただければ、女性も働きやすい職場になる」との意見が出た。
現場からの率直な意見を聞いた石井大臣は、現場で働く人の職場環境がより良くなるように取り組む考えを示した。
意見交換会の出席者は次のとおり。※①所属②加盟団体、敬称略
▽青山武史=①西松建設②全国建設業協会
▽早坂淳子=①長谷工コーポレーション②日本建設業連合会
▽榎本武彦=①楠工務店②日本型枠工事業協会
▽鈴木拓也=①鈴木鉄筋②全国鉄筋工事業協会
▽荒川千尋=①伊藤左官工業②日本左官業組合連合会
▽上杉友梨=①上杉設備②全国管工事業協同組合連合会
▽對馬大志=①東京躯体②日本建設躯体工事業団体連合会
▽小圷由隆=①一人親方②全国建設室内工事業協会