見たもん勝ち ～建設業応援団～
【検証・ICTで効率化】 トータルで生産性向上へ／コストと機器を使い分け／新潟県
2024/10/04記者の目／論説
建設メール
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３Ｄデータ作成講習会には定員を上回る参加者
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i-Constructionの3本柱として2016年に始まったICT技術の活用は、今年で9年目を迎える。ICT土工から始まり、年々対象工種を増やし、範囲を拡大している。北陸地方整備局発注工事では、これまでに直轄工事を受注した企業の76・2％が1度はICT活用工事を経験しており、経験企業は年々増加し、徐々に浸透を見せる。また、すでにICT活用工事に取り組む企業では、次のステップとして3次元データの内製化を視野に入れる。内製化により外注した場合と比較してタイムラグなくリアルタイムでのデータ修正が可能となり、効率化が図られるとともに、利益にもつながるという。
一方で、直轄工事でも一般土木Cランク工事受注企業の経験割合81・2％に対し、Dランクは34・8％にとどまる。また、市町村に目を向けると、企業からの提案を受けて取り組むところはあるものの、要領を定めてICT活用工事を試行するのは新潟県と新潟市など、まだ一部に限られる。市町村工事をメインに受注する企業からは「ICTを活用するほどの規模の工事が無い」「小規模工事では活用効果が薄い」との声が聞かれた。さらなる普及拡大には、小規模、市町村工事が課題だ。
ただし、ICT技術の活用は現場作業に限った話ではない。ICT建機による作業単体の効率化から、実情に応じたコストとICT機器の使い分けによる現場全体、企業全体の視点での生産性向上が注目されている。
建設業者を対象に3次元データ作成などを学ぶ講習会には、定員を上回る参加申込があった。研修会の受講者は「今は取り組んでいないが、将来の建設業の姿を若い世代に見せていかなければならない」と語る。
新潟県では、22年度にバックオフィス業務をDX化する建設業者への補助制度を創設。デジタル技術を活用して業務の効率化、労働時間を削減する取り組みに対し、初期費用、コンサルティング費用、クラウドサービスの利用料などに係る経費を補助する。
補助を活用した企業では、経費精算や勤怠管理、電子稟議システムの導入のほか、技術者一人に集中していた写真管理をクラウド化し、建設ディレクターなど複数人で行える体制を構築している。導入効果として情報の共有、時間外労働の削減、業務の効率化が図られたほか、時間管理意識の向上など数字に表れない効果も見られたという。このほか糸魚川市でも、行政主導で、デジタル技術を活用して建設業を支援するDX拠点施設の設置が計画されている。
ICT、DX化による業務の効率化、生産性向上には、人材確保を進めるに当たっては、会社全体で取り組むこと、ひいては経営トップの強い意識と決断力が重要となる。
