財務省は少額随意契約の基準額について見直しを検討している。前回改定は1974年で、80年代以降は公共調達の競争性や透明性を確保する取り組み、物価の下落や横ばい傾向が長く続き引き上げる状況にはなかった。しかし、コロナ禍後、急速な物価上昇、契約事務の簡素化等から基準額を引き上げるべきとの要望が強くなりつつあった。
少額随意契約は、競争は可能だが、契約金額が少額のため契約事務の簡素化から競争するまでもない場合に認められるもの。現行では、工事または製造が250万円、財産の買入れ160万円、物件の借入れ80万円などとなっている。
74年の引上げは、企業物価指数を踏まえて約1・6倍の引上げを行った。現在の物価高騰により、2024年3月時点で、前回改定時から企業物価指数は1・52倍の水準になっている。
一方、契約における競争性・透明性の確保という観点からは慎重に対応すべきとの意見もある。同省は、今後の検討で参考とするため、金額基準について意見募集を開始した。12月20日まで受け付ける。
対象は予算決算および会計令にある、低入札価格調査の対象となる契約の基準額、指名競争契約の基準額、少額随意契約の基準額、契約書作成を省略できる場合の基準額。予決令臨時特例の、複数落札制度における入札保証金免除の基準額など。
【ちょこっと補足】
今回の基準額の見直し対象のうち、現行の基準は低入札価格調査の対象となる契約の基準額(予決令第84条)は予定価格1000万円。指名競争契約の基準額(予決令第94条)は、工事または製造の場合、予定価格が500万円を超えないもの。契約書の作成を省略することができる場合(予決令第100条の2)は、一般競争契約、指名競争契約、随意契約で、契約金額が150万円(外国で契約するときは200万円)を超えないものとされている。