【東日本復興CM方式】 適用理由を整理し次への備え
2017/03/03建設時事
建設メール
国土交通省が昨年9月に設置した東日本復興CM方式の検証と今後の活用に向けた研究会では、8日に最終会合を開いて報告書の内容を固める。未曾有の災害となった東日本大震災の復旧・復興に当たって一般公共工事ではなく、なぜ復興CM方式が必要であったのかを分かりやすく整理することに主眼を置き、成果としてまとめる予定だ。
東日本大震災の被災自治体では都市再生機構と連携し、一般的に導入されていないマネジメントの活用や、コストプラスフィー契約・オープンブック方式などの先導的な仕組みを標準化した復興CM方式を取り入れ、円滑な事業推進を図ってきた。
1日も早い地域再建へ早期整備が求められる中、整備範囲が広く不確定要素も大きいために工事着手が遅れる恐れがあったほか、多数の発注事務手続きに追われる発注者の人員不足、入札不調・不落の可能性、発注者が複数の事業関係者との調整・協議に時間や労力を費やすことで事業が停滞する恐れがあるなど、一般公共工事では解決できない課題が山積していた。また、財源が全額国費で透明性の確保や公正な対価、地元企業の活用が求められた可能性もあるなど、一般公共工事での懸念事項も多いという背景があった。
今後、復興CM方式で活用された手法を適用する場合には、事業環境をはじめとした地域の実情や事業の性格を踏まえ、発注者が求めるものを整理した上で、①マネジメントの活用②設計施工の一体実施③コストプラスフィー契約④オープンブック方式⑤リスク管理費の導入⑥専門業者選定基準の整備―の中から必要となる手法を選択・組み合わせて実施体制を構築することを促す。研究会の成果として復興CMにおける特別な取り組みの内容と必要とした理由・背景、現行法上の留意点と今後の検討課題をあらかじめ示すことにより、大規模災害後の復興事業への活用に備える。
復興CM方式は早期復興のために特別に導入した仕組みではあるが、近年災害が多発する中、被災自治体、特に公共工事の発注実績や大規模工事の経験が少ない自治体の体制を補完し、早期に復旧・復興を進めるための有効性が確認されている。ただ一般の建設工事に適用するためにはCMR(統括管理技術者)の建設業法上の位置付けや契約手続き、事務負担の問題等に関して引き続き制度的な課題や解決方法を詰めるなど、さらなる検討が必要となる見通しだ。