【CIM+記者の眼】17年度から5分野対象に導入図る
2017/03/27記者の目/論説
建設メール
国土交通省は、社会資本の計画・調査・設計段階から施工、維持管理の各工程で3次元モデルを用いるCIMの導入ガイドラインを策定した。現行の契約図書に基づく2次元図面による業務や工事の発注・実施・納品を前提に、これまでの試行実績と知見を踏まえて作成したもの。2017年度版は国交省直轄土木事業における設計・施工分離発注方式による業務と工事で、▽土工▽河川▽ダム▽橋梁▽トンネルの5分野を対象とする。
ガイドラインは共通編と対象工種ごとの各分野編で構成。共通編ではCIMやCIMモデル作成・活用の基本的な考え方、各分野共通で行う測量、地質・土質のモデルの考え方を示す。各分野編は各工種に応じて測量、地質・土質調査、調査・設計、施工、維持管理の各段階で発注者、受注者が、それぞれ取り組むべき内容を示している。
また、CIMを活用した業務・工事で発注者を支援するため、17年度にはCIM活用型技術監理業務を発注する。6事業をモデルとし、関東では甲府河川国道事務所の新山梨環状道路、北陸では信濃川河川事務所の大河津分水路改修事業が対象となった。いずれも事業は調査・設計段階にある。業務は簡易公募型プロポーザル方式で委託者を決める。モデル事業を通じて課題の検証、複数年度を想定した契約方法の検討、現地条件・支援内容を考慮した支援形態などを検討し、次年度の実施計画策定に役立てる。
〈記者の眼〉
CIMが地方自治体の事業まで広がるには、まだ相当の時間が掛かるとみられる。国交省も自らの立場を旗振り役と認識している部分があり、まずは直轄の現場で活用することが先と考えているようだ。ただ以前からCIMに試行的に取り組んでいる自治体では、関係者や地元への説明が円滑に進み、事業の各段階で直面した課題の解決にもつながった例がある。目指すところは業務の効率化であるため、実際に効果が確認されるようになれば、将来的には自治体でも導入されることは間違いないだろう。