【ダム再生】 施設改良候補箇所の調査に着手
2017/05/17建設時事
建設メール
既設ダムを有効活用したダム再生をより一層進めるため、国土交通省の有識者検討会が必要な方策を示すダム再生ビジョン案をまとめた。既設ダムを永く使い、将来にわたる施設の確実な機能発揮のため、ダム再生の発展・加速に向けた方策を盛り込んでいる。施設改良によるダム再生の推進当たっては、本年度から候補箇所の全国的な調査に着手する。
主な取り組みのうち、ダムの長寿命化では、長期的視点を踏まえたダムの維持管理や設備更新をより効果的・効率的に行うため、長寿命化計画の策定や見直し、放流設備やダムコンなどの機械設備の計画的な保全対策を推進する。
維持管理の効率化・高度化では、ダム堤体の変位状況を自動観測・送信する機器などの設備を建設段階で設置することを標準化するほか、計画・調査・設計段階から施工、維持管理段階の工程全体で3次元モデルを関係者間で共有、維持管理で必要となる情報を明確にし、建設段階の情報の効率的な活用を全面展開する。
高機能化のための施設改良に向けては、水系ごとの治水上・利水上の課題検討や、施設改良候補箇所の全国的な調査、具体的な箇所での施設改良の実施に向けた諸元の検討を行うなど、施設改良によるダム再生を推進する調査に新たに着手する。また、高度な技術力が必要な工事を代行する制度を創設し、都道府県から要請があった場合に都道府県管理ダムの再開発を国、水資源機構が実施する。ダム再開発をより円滑に進めるため「ダム再開発ガイドライン(仮称)」の作成も行う。
気候変動への適応も進め、既存施設にゲートを増設するといった改良手法や運用方法の検討に加えて、ダムの建設に当たって将来の再開発が容易に行えるような柔軟性を持った構造の研究や代替地、付替道路等の整備手法検討に着手する。
ダムを活用した地域振興では、水源地域ビジョンなど、これまで策定された地域振興計画についてダムの所在市町村や関係者との連携の下で必要な見直しを行うほか、かわまちづくり支援制度を活用した水源地域の活性化もさらに推進する。