いまの課題を切り取る⑦ 減らない工事事故-刻み付けたい安全意識
2015/09/01特集企画/PR
建設メール
厚生労働省は、2007年3月の「建設業における総合的労働災害防止対策の推進について」の通達で、熟練労働者の大量退職によって安全衛生水準が低下することへの懸念を示した。
山梨労働局によると、山梨県内における全産業の労働災害発生状況を年齢別に見ると、50歳代や60歳以上が高くなる点、経験年数1~5年のやや仕事に慣れてきた年数が多いのは建設業に限らず全体的な傾向と言える。
一方で、1年未満が最も少なく(9・9%、全体は21・1%)、31年以上のベテランが17・4%(全産業5・4%)を占めている建設業の実態は、現場にベテランが多く、若い世代が少ないことの裏返しとも言えるのではないだろうか。
それならば、長年培った経験からくる勘などに頼る安全衛生対策ではなく、誰にでも分かるようにシステム化された対策導入が有効ではないか、と山梨県内でコスモス認定を受けている山英建設の担当者に話を聞いた。
同社では、20年ほど前に大手ゼネコンで安全衛生を担当していた退職者を雇い、徹底した安全衛生活動を行った経緯がある。当時の社長の英断である。これにより、取り組みは様変わり。
「実施していた活動をコスモスのシステムに当てはめた」と渡邊光春安全衛生本部長は申請時の様子を語る。
さらに「コスモス認定で安全に対する社員の意識改革には大きな変化が見える。現状他社の取り組みもあまり変わらないと思われ、社長の一声でコスモス認定はすぐにできるのでは」とも。
建設業においては、30人未満の小規模事業場の死傷者数が全体の9割を超える現実がある。企業の代表が、リーダーたる元請けが、現場を束ねる職長が、安全衛生活動に対する安全意識を刻み付けたい。それが、いついかなる場合でも必要不可欠なのではないだろうか。
【資料】 項目別発生状況/全産業と建設業比較