【日建連インタビュー】 現場の土日休み定着を/井上和幸・週休二日推進本部長
2017/05/31インタビュー
建設メール
本年度からスタートした日本建設業連合会(日建連)の週休二日推進本部。そこで本部長として辣腕を振るう井上和幸氏に話を聞いた。
「建設業の労働時間は、一般産業に比べ300時間は長いと言われる。単に数字だけでは測れないがこれは大きい」としながら、「若い人の入職が減り、このままだとピーク時の3分の1くらいにまで減少してしまうという予測もある。若い人が持つ仕事に対する価値観、どういう仕事に就きたいかという選択時に労働時間、特に土日休みは大前提になっている」と指摘する。「自分の能力を発揮したいと思っていながらも、やはりきちんと休みは取りたい。それは内勤の技術者だけではなく、現場で働く技能労働者も同じこと。そこを改善して産業の平均値になり初めて働き方改革のスタートに立てる」と論じる。
「まず現場での土日休みを定着させることが近道で正道。ただ今までの慣習もあり、生産組織などの課題もある。関係する方々の力を借りながら変えていきたい」と平坦な道のりではないことを説明した。
週休二日推進本部については「32社で構成し、建築16、土木16と同じ比率でバランスも取れている。日建連の本気と受け取ってもらいたい。下部組織の幹事会もエンジニアも含め人事や労務に携わってきた方など幅広い経験を持つ人に集まってもらった。偏らず、いろいろな角度から検討できると思う」と胸を張る。
「推進体制、政府の取り組み姿勢などがわれわれの追い風となっている。まさに今が千載一遇のチャンス。幸いにも建設業界は好況でもあるのでやるべき時である」と主張。
大きな論点である工期の延伸については「単純に考えれば休みが増えれば工期も長くなる。発注者側と受注者側が決めた工期をどうフォローしていくか、そのためのルールと体制づくりをしなければならない。国土交通省では週休2日制の工事を数多く発注すると言っている。それがモデルケースになるので、慎重に取り組んでいく」とし、「実際には現場で段取りをしても予期しない出来事により、計画どおりに進まないことは起き得る。実働に対してどのくらい工期が必要で進捗させるかなどを実証していくことになる」と分析した。
【略歴】いのうえ・かずゆき
1981年早稲田大学大学院理工学研究科建設工学卒、同年清水建設入社。2016年同社代表取締役就任。17年3月から日建連週休二日推進本部長。56年10月3日生まれ。