【国土交通省インタビュー】 事務次官・毛利信二氏「担い手確保の取り組みを応援」
2017/08/03インタビュー
建設メール
国土交通省の毛利信二事務次官は就任インタビューにおいて、今後の建設業における担い手確保の重要性を指摘し、各地で進む取り組みを一生懸命応援する考えを示した。
また、「建設業は人に支えられて現場で成り立つ産業。地方ほど若い人がいなくなり高齢化が進んでいる中にあって建設業が重要な役割を果たしてもらうためには、やはり担い手の確保が非常に大事」と指摘し、「働き方改革により長年の慣行を破って時間外労働の上限規制を5年後には適用する。そのプロセスにおいても5年間座して待つだけではなく、公共はもとより民間発注者の理解をいただきながら週休2日の実現なども含めて働き方改革を着実に進めなければならない」と力を込める。
さらに「あらゆるプロセスにおいて新しい技術を入れて生産性を上げていくi-Constructionの取り組みと、担い手の確保に向けた働き方改革の二本立てで進めていきたい」との姿勢をみせる。
今後の社会資本整備の在り方については、「ストック効果の高い社会資本の計画的な整備が重要。例えば大都市圏の国際競争力や地域の潜在成長力を向上させるプロジェクトといったものを官民挙げて重点的・戦略的に推進していく必要がある。社会資本のストック効果というのは、出るものではなくて出すもの。その最大化に向けて生産性革命を推進していきたい。賢く投資する、賢く使うということも徹底していかなければならない」とした。また、「ICTやAI(人工知能)などの新技術を活用し、建設現場の生産性向上とメンテナンスの効率化も加速させて、働き方改革や地域社会の活性化も実現していきたい。社会資本整備の計画的な推進のためには経済規模に見合った安定的・持続的な公共投資をしていくことが必要であり、担い手の確保の上でも不可欠」と強調した。
土地・建設産業局長時代に打ち出した建設キャリアアップシステムに対しては、「技能労働者の技能と経験を『見える化』することで担い手確保の基本的なシステムになり、定着することを期待している。まだまだ道半ばだが、全国の方にシステムの意義を認めていただき、一緒にこの道を歩いてほしい」と話す。加えて「各地で進めている担い手確保・育成の取り組みが非常に重要。一生懸命にやってくださる方々は本当に素晴らしいと思っており、応援させていただいている」とした。
建設産業政策会議などで打ち出された施策の実現に向けては、「各団体が反応し、一緒にやってくれているということが一番重要。『うねり』のような流れの中で制度改正はあるべきで、やってほしいという声こそ大事。そういう声が聞こえてくればやらなければいけない」とし、機が熟すことが必要との見解を示した。
【略歴】もうり・しんじ
81年東大法学部卒、建設省採用。国交省大臣官房総括審議官、土地・建設産業局長(15年3月から7月まで大臣官房建設流通政策審議官兼務)、総合政策局長、国土交通審議官を経て本年7月7日付で現職。57年6月生まれ。60歳。島根県出身。