【全国の中小河川】 3700億円で緊急治水対策プロジェクト
2017/12/01建設時事
建設メール
国土交通省は1日、都道府県が管理する全国の中小河川を対象に9月下旬から実施していた緊急点検の結果を踏まえて行う「中小河川緊急治水対策プロジェクト」の内容を発表した。2020年度までの今後おおむね3年間で全体事業費に約3700億円を投じて、全国で透過型砂防堰堤の整備、多数の家屋や重要な施設の浸水被害を解消するための河道掘削や堤防整備、洪水に特化した低コスト水位計の設置などを進める。対策に当たっては防災・安全交付金による支援等を実施する。
石井啓一大臣は同日の会見で「早急に対策を実施するために、補正予算等の予算面での支援、土砂・流木対策や低コストの水位計に関するガイドライン等による技術的な支援、さらには必要に応じて下流の直轄管理区間で川底の掘削を実施する現場での支援など、国土交通省としてもあらゆる手段を検討してまいりたい」との考えを示した。
対策のうち、土砂・流木対策は521河川の745渓流が対象となり、土砂・流木捕捉効果が高い透過型砂防堰堤等を整備する。事業費は約1300億円。山地部の渓流では砂防堰堤未整備の箇所には透過型の堰堤を新設し、整備済みの箇所は透過型に改良する。上流で治水事業が実施される場合には林野庁と連携して上下流一体となった対策に取り組む。河川(上流)では流木捕捉工を新設する。
再度の氾濫防止対策は、438河川の332㎞が対象で、多数の家屋や重要な施設の浸水被害を解消するための河道掘削・堤防整備などを行う。事業費は約2300億円。
洪水時の水位監視では、水位把握の必要性が高い4992河川の5755カ所を対象とし、洪水に特化した低コストの危機管理型水位計を設置して近隣住民の避難を支援する。事業費は約110億円。1台100万円以下で無給電5年以上稼動の水位計を設置する。
なお、林野庁の治山事業を含めた全体事業費は約4300億円となる。