〈耳寄り〉 一級建築士の合格者は半数が20代に
2018/01/09コラム
建設メール
先月下旬に発表された2017年一級建築士試験「設計製図の試験」の合格者は、過去10年間では最低となる37・7%の合格率だったものの、合格者の約半数に当たる48・9%を20代が占める点が大きな特徴となった。20代の合格者比率は過去最高で、前年から6・4ポイントの増加だった。また、受験資格別に見ると、就職して早期に受験資格を得ることができる「大学」の合格者の比率が全体の76・9%となり、こちらも過去最高の数字となっている。
合格者全体が若い世代になるのは二級建築士試験でも同様の傾向にあるため、総合資格学院を運営する総合資格では「早期の資格取得が今や主流と言える」としている。背景には業界における慢性的な有資格者不足があり、国や企業が若年技術者の育成に力を入れ、早期の資格取得を進めている。
試験内容に関して、総合資格では「総じて実務者レベルの提案力が求められ、与条件を満たした図面だけでなく、他者よりも優れたプレゼン力のある図面を描き上げることができた人が合格を勝ち取った」と分析する。
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難関資格である一級建築士の試験は、早期受験に加えて、より実務に近い実践的な内容が求められる傾向が確実に強まっている。ただし、その難関をくぐり抜けた合格者は若くても即戦力になる可能性が高い。今後は自らの案を作図する力だけでなく、計画の要点をアピールする提案能力の差が、より合否の鍵を握ることになるだろう。