【実態調査】 3次下請け以下は技能者の賃金低く
2018/01/16建設時事
建設メール
国土交通省は、無作為抽出した建設業許可業者を対象に昨年9月から11月にかけて初めて行った社会保険加入や賃金の支払い状況等に関する実態調査の結果をまとめた。直近の一現場を調査対象としており、賃金に関しては、公共工事・民間発注工事に関係なく職階に応じた賃金水準になっているが、3次以下の下請企業では技能者の賃金が低い傾向にあることが明らかになった。
また、賃金を引き上げたと回答した割合も3次以下の下請企業では3~4割にとどまり、4~5割の企業が引き上げたと回答した元請企業から2次下請企業と比較すると、低くなっていることが分かった。
法定福利費については、公共・民間発注工事いずれも下請企業の次数が高くなるほど法定福利費を十分に受け取れた工事の割合が減少している。
公共工事では、元請企業と1次以下の下請企業との間で法定福利費を全額受け取れた工事の割合に差があり、元請企業は約6割の工事で全額受け取っている一方、1次以下の下請企業が全額受け取れた工事は5割を下回った。発注者によって法定福利費の受取状況が異なる傾向もあり、市区町村発注工事で元請企業が全額を受け取れた工事の割合は52・5%で、国や都道府県と比べて低い。
民間発注工事では、公共工事と比べて法定福利費を確保できている工事の割合が少ない傾向にあり、特に3次以下の下請企業が全額を受け取れた工事の割合は3割を下回った。
国交省では今回の結果を踏まえ、引き続き必要な法定福利費や適正な賃金水準の確保を関係団体へ要請するとともに、2018年度も実態調査を継続して実施する。