【低入札調査基準】 工事は現場管理費算定率10%引き上げ
2016/03/14建設時事
建設メール
国土交通省は2016年4月1日以降に入札公告を行う工事を対象に、低入札価格調査基準の現場管理費の算定率を80%から90%へ引き上げる=表参照=。
従来は現場代理人および監理(主任)技術者の費用が対象だったが、品質確保の観点から、元請け業者が配置する全ての従事者の費用を計上するように改定する。
低入札価格調査基準の設定範囲は予定価格の70~90%に設定されており、現在の平均値は約87%となっている。今回、現場管理費を引き上げることで平均値は90%近くまで引き上げられる見通しだ。
今回の見直しに伴い中央公共工事契約制度運用連絡協議会(中央公契連)モデルの改正も行う予定で、中央公契連モデルの改正が地方自治体に通知された後、調査基準価格や最低制限価格の引き上げが進むと予想される。
〈記者の眼〉
今回、現場管理費の算定率を90%へ引き上げることで、低入札価格調査基準の平均値は設定範囲上限値の90%に限りなく近付くことが予想される。
設定範囲は国土交通大臣と財務大臣の協議で合意しているため、両大臣の合意がない限り、今後、これ以上の引き上げはできないことになる。
低入札価格調査基準の設定はダンピング受注の防止が目的で、基準額に近い応札が発生しないことが本来は望ましい。今回の見直しを機に、適正な利潤を確保できる価格での落札が増えることが期待される。