【建設産業政策】 社会保険加入の許可要件化へ前進
2018/03/19建設時事
建設メール
国土交通省は、19日に中央建設業審議会等の基本問題小委員会を開き、社会保険未加入業者の建設業許可・更新を認めない仕組みや技能労働者の位置付けなどを検討した。社会保険に関して国交省では現在の制度運用でも未加入者への加入指導が行われており、許可要件化する場合に実務上の大きな問題はないことを説明し、委員からも特に反対意見は出なかった。
建設業の許可・更新に際して、現状では健康保険等の加入状況、健康保険・厚生年金の領収証書、労働保険申告書および領収済通知書を提出させ、事業所整理番号などを調べることで社会保険等の加入状況を確認している。未加入の場合は保険担当部局への通報にとどまり、許可の要件とはしていないが、今後は許可要件とする見通しだ。
一方で、本来は社会保険の加入義務があるにも関わらず、加入を逃れるために建設業許可が不要な500万円未満の工事に流れる可能性もあるため、公共工事では各発注者に対して下請けの建設企業も含め、社会保険加入者に限定する取り組みを進める。民間工事では受注者が発注者へ提出する工事の施工を社会保険加入企業に限定する誓約書の活用を要請していく。委員からは、「誓約書の活用はいいが、現場の中小零細事業者まで周知徹底されて、理解されることが大事。実効性を担保する措置が必要」という意見が出た。
委員会では他にも、技能労働者の位置付けや、働き方改革の推進に向けた受発注者双方の取り組みについて意見を交わした。技能労働者に関しては、技術者以外に建設工事の現場における技能者の果たすべき役割を踏まえ、制度上の位置付けを探るための検討の視点を提示。働き方改革の関係では、適正工期ガイドラインに盛り込まれている受発注者双方の取り組みのうち、法令や約款などで制度化することで一層の推進を図ることが可能と考えられる取り組みを、今後も引き続き議論する。