【建築3団体】 建築士資格制度の改善求める/自民党へ共同提案
2018/06/06業界動向
建設メール
日本建築士会連合会(士会連合会、三井所清典会長)、日本建築士事務所協会連合会(日事連、佐野吉彦会長)、日本建築家協会(JIA、六鹿正治会長)の3団体は5日、建築士資格制度の改善案を自民党建築設計議員連盟に共同で提案した。建築士を目指す若者が資格を早期取得した上で、建築に関連するさまざまな業務で活躍できるよう建築士資格取得の合理化や実務経験の範囲拡大などを盛り込んだ。
現行の建築士制度では建築士免許取得時に必要な学科試験を受験する前に、学歴などに応じた一定期間の実務経験を求めている。3団体の提案では建築士名簿に登録されるまでに定められた期間の実務経験を積むことを前提に、大学などを卒業してすぐに学科試験を受験することができるよう要望している。
また建築士試験の受験要件である実務経験の範囲が耐震偽装事件を受け2008年に狭められたことから、建築士の受験に必要な知識や経験を有しているにも関わらず、建築士試験を受験できないという現状に対し、実務経験の範囲を①設計前段階の建築基本計画作成等の業務②既存建築物の品質に係る調査・検査、維持保全に関する業務③大学、工業高校等での建築教育④官公庁等における建築行政―とする拡充を提案した。
さらに学科試験の合格者は一定の知識と能力を身に付けたものと評価し、製図試験は現行2回までという規定を取り払うよう提案。製図試験には設計実務により即したCADの導入を要望した。
建築士の業務領域に関しても、建築物の質の確保に向けて建築士や建築士事務所が関与することが望ましい業務については建築士が受け持つことを提案。特に大規模修繕や大規模の模様替えに該当しないが、建築物の安全上重要な改修に係る設計・工事監理や耐震診断建築士法上建築士でなければ設計等を行うことができない建築物について、建築士による設計等の確認を徹底し違反摘発などを強化するよう求めた。
3団体合同での提案に当たり士会連合会の三井所会長は「若い人が建築の仕事を選び、建築士の仕事に就いてもらいたい。若いうちに学科試験などを受け、実務経験を備え建築士名簿に登録するという流れは、ある意味合理的なのではないか」と提案内容について話した。