《連載①》 【地域のインフラメンテナンス】「地域を健全な形で次の世代に」
2018/08/07特集企画/PR
建設メール
新たな事業領域への進出や技術開発に取り組む全国の建設業経営者らで組織する建設トップランナー倶楽部(代表幹事・米田雅子慶應義塾大学特任教授)が6月29日、「地域のインフラメンテナンス~第4次産業革命の胎動」をテーマに、第13回建設トップランナーフォーラムを東京都内で開いた。メンテナンス技術の向上を目指す産官学の取り組みなど、社会インフラの守り手に焦点を当て、今後の地域におけるインフラメンテナンスの進め方、地域建設業の在るべき姿などを探った。
フォーラムの冒頭、趣旨説明に立った米田氏は、戦後に造られた膨大な社会基盤の老朽化が進み、地震や豪雨が多発する昨今において「災害から人々の命や暮らしを守るために、地域のインフラメンテナンスが喫緊の課題」と指摘。担い手不足や限られた財源など厳しい状況を踏まえた上で「地域を健全な形で次の世代に引き継ぐことが、地域建設業の使命」と強調した。また「ICTやロボットをいかに活用するかも重要なテーマ」とし、「地域建設業も時代に合わせて進化しなければならない。その進化の息吹を感じてもらえるフォーラムにしたい」と述べた。
来賓としてフォーラムに参加した石井啓一国土交通相は、この日のフォーラムのテーマであるインフラメンテナンスについて「国民会議を創設し、それを通じて、ロボットやAIなどの技術開発を後押しするなど、メンテナンス産業の育成・活性化・優良事例の全国展開を進めている」と説明。今後も国交省では「地域の守り手である地域の建設業が魅力にあふれ、誇りを持って仕事に打ち込める環境整備を進めたい」と述べた。
齋藤健農林水産相は「農山漁村では建設業が非常に大きな役割を担っている」と強調。「農地のほ場整備や林業における路網整備など、農林水産業と建設業は非常に密接な関係にある」とし、地域に根差した建設業が、地域の元気の中心となって活躍することが「農林水産業の活性化に資するだけでなく、未来を担う若者の雇用の受け皿として、地方創生の重要な柱になる」と指摘した。
また、6月15日に閣議決定した未来投資戦略2018に、ドローンなどのロボットを活用した機能診断や施設監視などの新技術の開発導入などによる、インフラメンテナンスの生産性向上などが盛り込まれたことを報告。「限られた予算で農業水利施設の老朽化に対応するには、本日のフォーラムは誠に時宜を得たもの。みなさんから現場の知恵や意見を頂き、今後の農林水産政策に生かしていきたい」と述べた。
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全国の建設専門新聞20社が参加する「地方建設専門紙の会」が取材した第13回建設トップランナーフォーラムの模様を連載します。(地方建設専門紙の会)