【社会保険加入】 法定福利費確保へ支援策も
2018/09/06建設時事
建設メール
国土交通省は建設業における社会保険加入の徹底・定着を図るため、2019年度予算概算要求で事業費約2500万円を求めている。社会保険未加入企業に対して建設業許可・更新を認めない仕組みとする建設業法の改正を見据えて、下請け企業まで社会保険加入を徹底させていく方策と、加入に必要な法定福利費等を着実に行き渡らせるための施策を実施する環境を整える。
建設業で社会保険加入が着実に進む中、特に下請け企業では、いまだ未加入の企業が存在する。また労働者単位の加入率は製造業と比べて低く、加入すべき社会保険に関する誤解が生じている実態もある。社会保険加入に必要な法定福利費については下請け次数が高くなるほど行き渡っておらず、地方自治体発注工事では元請け企業であっても法定福利費に関する認識が不足している。国交省の調査では法定福利費を全額受け取れた工事の割合は元請けで公共は59・2%、民間は44・1%で、3次下請け以降では公共で41・7%、民間は25・6%となる。法定福利費の受取状況が不明な工事に関しては、国で18・4%、都道府県で28・9%、市区町村で37・7%あると元請け企業が回答していることから、あらためて周知・啓発を図る。
主な取り組みとして、社会保険制度の仕組みなどに関するセミナーを開くとともに、建設キャリアアップシステムを活用した社会保険加入対策の実施などを周知する。同システムにより元請け企業は現場に入場する技能者一人一人の加入状況が簡単に確認できるようになるため、加入対策の合理化・適正化につなげる。
また法定福利費のさらなる見える化に向けて、法定福利費や労務費を内訳明示した請負代金内訳書の作成を支援するとともに、引き続き法定福利費や賃金の支払い状況に関する実態調査を行い、課題を整理する。