【国交省19年度概算要求②】 〈水管理・国土保全局〉防災意識社会への転換加速
2018/09/06建設時事
建設メール
国土交通省水管理・国土保全局の2019年度予算概算要求では防災意識社会への転換を加速させるなど、対前年度当初比1・18倍となる9945億円を要望した。
治水事業の関係では水害の頻発・激甚化に対応する治水対策や地域を守る総合的な土砂災害対策、南海トラフ巨大地震、首都直下地震等の大規模地震に備えた地震・津波対策を進めることで、防災意識社会への転換の加速化を図る。
公共施設のストック管理・適正化では、点検・評価結果に基づく施設の機能確保や施設の機能確保に係るコスト縮減、ICT活用の加速化などを計画する。
下水道事業関係では、防災・減災対策と戦略的維持管理・更新、効率的な下水道事業、下水道リノベーションを推進する。
新規事項では、河川・下水道・市町村の一体的かつきめ細やかな浸水対策の強化、ふるさと浸水対策緊急河川事業の創設、砂防関係施設・海岸保全施設の長寿命化計画策定支援の延伸、藤原・奈良俣再編ダム(群馬県)等のダム再生事業、災害緊急対応事業費や災害復旧事業査定設計委託費補助の拡充などを盛り込んだ。
ふるさと浸水対策緊急河川事業は中小河川の氾濫による浸水被害が発生した地区において、被害解消を図るための改修計画に対し防災・安全交付金で集中的な支援を行う。
◎〈都市局〉都市分野で新技術導入を
国土交通省都市局の2019年度予算概算要求では対前年度当初比1・19倍となる国費660億7200万円を要求している。
主要施策では都市分野における新技術の導入としてAI、IoT等を活用した安全・快適な都市の形成やデータに基づくまちづくりの普及・展開を図るため、スマートシティの取り組みや官民データの利活用を進める。
コンパクトシティの推進では、立地適正化計画の裾野の拡大と質の向上、都市機能の集約につながる施設整備や再編を促進する。
また被災地の復旧・復興では7月豪雨、九州北部豪雨、熊本地震、東日本大震災などの大規模災害からの復旧・復興を着実に進める。さらに都市における防災・防犯対策も強化するため、密集市街地対策や宅地防災、液状化対策などを推進する。
他にも歴史・景観等の地域資源を生かしつつ、緑豊かで魅力的なまちづくりにも取り組む。
◎〈道路関係〉将来の維持管理・更新費を推計
国土交通省の2019年度予算概算要求のうち、道路関係では老朽化対策の本格実施や無電柱化の推進などに向けて、事業費ベースで対前年度当初比1・09倍となる4兆6663億円を求めた(有料道路事業等含む)。
老朽化対策では18年度末で道路施設の定期点検が一巡することを踏まえ、メンテナンスのセカンドステージを着実に実施する。具体的には点検の重点化・効率化に向けた定期点検の見直しと将来的な維持管理・更新費の推計を実施することで着実な予防保全に取り組む。予算、体制、技術面で課題のある地方自治体への支援も行う。
道路の防災・震災対策では、緊急輸送道路等の耐震補強、のり面の防災対策などを進める。
無電柱化の推進では、地方自治体における低コスト手法の普及や地方版無電柱化推進計画の策定推進、緊急輸送道路等に加えて幅員が著しく狭い歩道も占用制限対象とした新設電柱の占用禁止、既設電柱の撤去に向けた占用制限などを実施する。
踏切対策については、カラー舗装や駅周辺対策などの好事例の提供により道路管理者の対策検討を支援することで、立体交差化、踏切拡幅等と合わせハード・ソフト両面から対策を進める。
他にも地方自治体における自転車活用推進計画の策定促進、全国の主要鉄道駅や観光地周辺道路のユニバーサルデザイン化などを盛り込んだ。
◎〈住宅局〉人生100年時代の住生活実現
国土交通省住宅局の2019年度予算概算要求では、人生100年時代を支える住生活実現などに向け、国費ベースで対前年度当初比1・20倍の2090億700万円を求めた。
住宅・建築物の質向上と既存ストックの有効活用では、住宅・建築物の省エネ化・長寿命化、空き家対策の強力な推進などに取り組む。空き家対策では市町村が行う空き家の除却や利活用の支援を強化するほか、発生抑制など地域の共通課題を解決するモデル的な取り組みを支援する。
人生100年時代を支える住生活の実現では、若者・子育て世帯が希望する住宅を選択・確保できる環境や地域ぐるみで子どもを育む環境の整備、サービス付き高齢者向け住宅の整備促進などにより高齢者が自立して暮らすことができる住まいの確保を目指す。
住宅・建築分野の生産性向上では、民間発注を含めた建築工事全体でのBIMの普及、電子的に建築確認申請を行うことが可能なシステム整備に対して支援する。
地域の良質な木造住宅・建築物の生産体制も強化し、地域の中小工務店が資材の供給者と協力して行う省エネ性能や耐久性に優れた木造住宅の整備などを支援していく。
他にも災害等に強いまちづくりの支援、住宅・建築物の耐震改修等の推進などに取り組む。