【国土交通省就任インタビュー】 住宅局長 石田優氏「業務報酬基準の改正を」
2018/09/26インタビュー
建設メール
国土交通省住宅局の石田優局長は就任インタビューで「消費税アップへの対応が近々の課題としてある一方で、省エネ、安全性、耐震性など中長期的な問題もある。空き家対策や人口構成の変化に伴う問題も抱えているので、当面の消費税の対応などを円滑に進めながら、中長期に向けた取り組みも頑張りたい」と抱負を語る。また建築設計、工事監理等の業務報酬基準(告示15号)の年度内改正に意欲を見せる。
既存住宅流通の活性化に向けては「産業構造全体が新築中心になっているので、それを大きく変えるのは簡単ではない。ただ首都圏では新規の供給マンション戸数よりも既存のマンション流通戸数が上回っている。日本でも家を買うイコール新築という世界から少し変わりつつあると思う。そのためには安心して買える質の向上が必要。既存住宅を買って、リフォームして住むというイメージを持てなければ買う気は起きないが、目の前で見えてくると人の気持ちも変わるのではないか」と期待を寄せる。
告示15号の改正に対しては「8月に告示の改正案を中央建築士審査会に示し、大筋で了解をいただいた。秋からパブリックコメントができるように準備を進めている」とし、意見を踏まえた最終的な検討を経て本年度中の改正を目指すとした。ポイントは3点あり「一つは簡易的に報酬算出に使う略算表について実情に合ったものに改定し、略算表が使える対象範囲も拡大する。二つ目は業務内容の難易度に応じた補正係数のパターンを充実させる。最後は基本的な業務と追加的な業務を整理して、なるべく明確にしたい」と説明する。
建築分野の生産性向上については「建築確認の電子申請手続きは、ほとんど進んでいないのが実情なので、電子化を進める。また設計から施工、維持管理までを効率化し生産性を上げるという意味ではBIMが重要。BIMは幅広い概念なので、民間と一緒になって勉強し、知恵も借りながら広げていきたい。地場の工務店の生産性を上げることも大事なことなので、引き続き頑張っていきたい」との考えを示した。
【略歴】いしだ・まさる
1986年東大法学部卒、建設省採用。国交省大臣官房参事官(会計担当)、大臣官房会計課長、大臣官房審議官(住宅局担当)、大臣官房総括審議官を経て本年7月27日付で現職。62年5月生まれ。56歳。京都府出身。