【国土交通省就任インタビュー】 水管理・国土保全局長 塚原浩一氏「安全度の底上げを」
2018/09/27インタビュー
建設メール
国土交通省水管理・国土保全局の塚原浩一局長は就任インタビューで、相次ぐ災害の被災地の復旧・復興を急ぐとともに「安全度の底上げにしっかりと取り組まなければならない」との見解を示した。今後は7月の豪雨、台風21号、北海道で発生した地震などの本格的な災害復旧の推進に加えて「これまで考えてもいなかった災害が毎年のように、そして年に何回も起きている。治水対策や安全度を上げることを一生懸命やってきたつもりだが、いかに効率的に迅速にやるかが大きな課題」と指摘する。
国交省では近年、水防災意識社会の再構築に取り組んできた。塚原局長は「ハード面、ソフト面を含めた取り組みは効果を上げている。ただ課題もあるので、足りないところの強化を地道にやるしかない。水防災意識社会の再構築の強化と加速化も大事だ」と話す。
今後の抜本的な治水対策に向けては「人命が失われないようにするためにハード・ソフト両面から何ができるかを考える必要がある。ソフト対策に頼りすぎることなく、全国的な安全度の底上げ、特に壊滅的な被害により人命が失われかねないようなところのハード対策はしっかりやらなければいけない」と強調する。
設立から10年が経過したTEC-FORCE(緊急災害対策派遣隊)の今後の展開に対しては「現地で状況を判断し、方針を決めるに当たって重要な役割を果たしているが、実際の道路啓開や排水、それ以外の工事は直轄の職員だけではできないので、民間の皆さんの貢献が重要。調査を行うコンサルタントも同じ。民間の協力を求めて、活動を担保する仕組みがあるわけではないので、戦力として期待できるような仕組みを研究したい」との見通しを述べる。
i-Constructionの取り組みに関しては「ICT技術の活用は大事で、堤防工事ではICT土工が非常に有効。オープンイノベーションにより危機管理型水位計の導入も進めている。災害現場ではもっと活用していかなければならない。ICT技術を持つ業界の皆さまに協力していただければ対応力が飛躍的に上がると思う」とし、新技術の導入に前向きな姿勢を見せる。
【略歴】つかはら・ひろかず
1985年東大大学院工学系研究科修了、建設省採用。国交省九州地方整備局企画部長、水管理・国土保全局防災課長、同局河川計画課長、中部地方整備局長を経て本年7月31日付で現職。61年3月生まれ。57歳。東京都出身。