【施工時期の平準化】 発注規模100億円以上の自治体へ重点要請
2018/11/06建設時事
建設メール
国土交通省は施工時期等の平準化を地方自治体でも進めるため、発注規模が大きい市区町村を対象に債務負担行為の活用による積極的な平準化への対応を促している。今後は特に年度当たりの発注金額の合計が100億円以上の団体を対象に重点的な対応を要請する。
発注金額ごとに市区町村の債務負担行為の取り組み状況を見ると、政令市で95%が実施しているのに対し、50億円以上100億円未満の発注規模の市区町村(166団体)では半数以下、100億円以上の市区町村(97団体)においても6割以下にとどまっている。
平準化に向けて何らかの取り組みを実施している市区町村は増加傾向にある。積算の前倒しは最も多い574団体が取り組んでおり、速やかな繰越手続きは昨年と比較して167団体増加した。単独事業について前年度までに測量や設計を完了させて年度当初に工事を発注できる体制を整えている例や、繰越手続きを12月議会に計上している市もある。
国交省が10月に行った調査によると、都道府県で管内市区町村に対して平準化を進める上での支援を実施しているのは31団体あり、うち6団体は職員による訪問やアンケート等を通じて直接的な働きかけを行っている。市区町村に対し平準化の取り組みを普及させるために必要と考える事項では「法律上の明確な位置付け」「事例集のさらなる拡充」「発注者ごとの目標設定」の回答が多かった。
一方で施工時期の平準化に向けた繰越制度の活用に関して「財政当局に年度上半期も終わらない状況で繰越明許費を認めてもらうことは困難」「単年度会計原則のもと財政サイドから繰越総額の削減を求められている」という意見や、平準化の効果が不明、年度末に繰越実施を行う慣例があることなどが早期の繰越明許費計上の阻害となっている実態も明らかになった。
さらに地域的な阻害要因として、6月から10月の出水期、12月から3月の積雪、農繁期による影響を指摘する意見も出ている。