〈こぼれ話〉 業界向けに話すのは最後
2018/12/05記者の目/論説
建設メール
「実は建設業界向けに(東日本大震災の経験談を)話すことは今日が最後にしようと思っている」。4日に都内で開かれた全国建設青年会議の第23回全国大会で、政策研究大学院大学客員教授の徳山日出男氏は、このように基調講演を締めくくった。東日本大震災発生時に東北地方整備局長だった徳山氏は、緊急輸送道路啓開のために「くしの歯作戦」の実行を指揮するなど、早期の復旧等に尽力したことは有名。以来、立場は変わっても約7年半の間に各地で何百回も話をしてきたという。
徳山氏の真意は「できれば一般の人に建設業は大事だという話をしたい」という点にある。加えて命懸けで復旧に当たった建設業者、特に地域の建設業者が「いろいろなノウハウ、実際の物語を伝えなければならない」との考えがある。震災に限らず、災害復旧等の記憶は地域の建設業者が今後も語り継がなければならない。それが使命でもあると話す徳山氏の思いは、全国から集まった若手経営者に伝わったはずだ。〈K〉