【下請取引調査】 標準見積書の活用状況が着実に改善
2018/12/26建設時事
建設メール
全国約1万4000の建設業者を対象に国土交通省と中小企業庁が行った2018年度下請取引等実態調査の結果、法定福利費を内訳明示した標準見積書の活用状況が着実に改善されていることが分かった。また技能労働者へ支払う賃金水準について、予定を含めて引き上げると回答した建設業者が前年度に引き続き8割を超えた。技能労働者の雇用形態では4週8休が25・7%、4週7休が7・6%、4週6休が38・3%などだった。
標準見積書に関しては、元請け業者が下請け業者に対し交付を全部または一部の下請け契約で働き掛けている割合は63・9%で、前年度から3・2ポイント増加。下請け業者の標準見積書の活用状況は全部または一部の工事で交付している割合が67・7%で、前年度より3・6ポイント増えた。
一方、元請け業者が標準見積書の交付を働き掛けていない理由としては「必要な法定福利費相当額を契約金額に含めて支払っており、活用する必要がないため」が最も多く、下請け業者が標準見積書を交付しない理由では、「注文者が交付を求めてこなかった」との回答が依然として目立った。
賃金の関係では、技能労働者へ支払う賃金水準を引き上げた(予定含む)と回答した建設業者は82・7%で、前年度比2・7ポイント増加し、質問を始めた13年度以降、5年連続の増加となった。引き上げた理由で最も多いのは「周りの実勢価格が上がっており、引き上げなければ必要な労働者が確保できない」だった。また「若者の入職促進など業界全体の発展に必要」という前向きな意見も多い。引き上げない理由では「経営の先行きが不透明で引き上げに踏み切れない」が最多だった。
今回の調査では建設工事を下請け業者に発注したことがある9018業者のうち、是正指導の対象となる28項目中、14項目で前年度よりも適正取引を行っていると回答した率が増えた。指導の必要がないと認められた建設業者は554業者(6・1%)で、前年度から0・5ポイントの減少に。適正回答率が低い調査項目は「見積提示内容」「契約条項」だった。
なお調査結果により建設業法に基づく指導の必要があるとされた建設業者には是正措置を講じるよう指導を行っている。