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【新春インタビュー】 石井啓一国土交通大臣/生産性革命は「貫徹の年」

2019/01/07インタビュー

建設メール

 石井啓一国土交通大臣は2019年の新春インタビューで防災・減災、国土強靭化対策や安定的・持続的な公共投資の確保、建設業の働き方改革などに力を入れるとともに建設業法等の改正に向けた準備を進める考えを示した。また19年を生産性革命「貫徹の年」に位置付けて、生産性向上につながる施策に全力で取り組む姿勢を見せた。

 ―今後の防災・減災、国土強靭化に向けた取り組みについて
 石井 昨年は大阪北部地震、7月の西日本豪雨、台風第21号、北海道胆振東部地震など、各地で大きな自然災害が相次いだ。その都度被災現場を視察し、自然災害の猛威をあらためて実感した。特に西日本豪雨では非常に広い範囲で従来にない大雨が降った。北海道胆振東部地震では斜面崩壊の凄まじさを感じた。
 また安倍首相の指示で重要インフラの機能確保に向けた緊急点検を行った。これで明らかになった課題を踏まえてソフト・ハード両方で、災害から命を守るために必要なリスク情報を充実させていく。12月に取りまとめた3年間で集中的に講じる緊急対策を推進し、総力を挙げて防災・減災、国土強靭化対策に取り組んでいきたい。

 ―19年度当初予算案を含めた今後の社会資本整備の方向性について
 石井 効果の高い社会資本整備を計画的・重点的に実施しているが、建設産業を育成していく意味でも安定的・持続的な公共投資の確保が何よりも重要だと思っている。
 防災・減災、国土強靭化のための3年間の緊急対策の事業規模のめどは政府全体で7兆円程度。国交省関係では3・6兆円程度と見込まれている。この緊急対策に要する国費のうち、国交省関係の公共事業関係費では、18年度の第2次補正予算案で6183億円、19年度当初予算案の臨時・特別の措置で7153億円を確保した。この結果、19年度当初予算における国交省の公共事業関係費は臨時・特別の措置も合わせると総額5兆9663億円。社会資本は未来を切り開くための投資であるので、今後もストック効果を最大限に発揮できるよう重点的かつ戦略的な取り組みを加速したい。

 ―建設業の働き方改革の取り組みと、関連施策の今後の展開について
 石井 長年の慣行を打破するための最大のチャレンジが働き方改革。関係省庁と連携して適正な工期設定のためのガイドラインを策定したほか、昨年3月に国土交通省として長時間労働の是正等を柱とした建設業働き方改革加速化プログラムを策定した。直轄工事では週休2日工事の対象を拡大し、18年度からは新たに労務費の割増補正を導入するなど踏み込んだ取り組みを講じている。その結果、週休2日を達成した工事は、18年度は10月末時点で1800件程度まで増えている。こうした取り組みを直轄のみならず地方公共団体や民間の発注者、中小の建設業者が受注する工事に対しても広げたい。
 足元の対策に加えて19年は長時間労働の是正や現場の処遇改善、生産性向上などを柱とする建設業法等の改正に向け、準備を進めていきたい。
 本年1月からは建設キャリアアップシステムが限定運用され、4月からは本格的に運用が始まる。これを導入することによって技能者一人一人が技能や経験に見合った処遇を受けられる環境整備を期待したい。今後さらに国交省としてシステムを活用した技能のレベル分けを行う建設技能者の能力評価制度の策定などを進めるとともに、制度の周知・普及を精力的に行う。建設業界が働き方改革の最先端と言われるように国交省と建設業界が二人三脚で働き方改革に取り組んでいきたい。

 ―生産性革命プロジェクトの方向性について
 石井 18年は生産性革命を深める「深化の年」としたが、19年は生産性革命をさらに推し進めるという意味で「貫徹の年」としたい。
 i-Constructionのうち、ICT土工は都道府県発注工事でも実施件数が大幅に伸びている。都道府県発注工事は中小企業が対象になるが、実施した現場では作業時間が3割程度縮減されるなど取り組みが拡大している。また建設現場のリアルタイムなデータに基づく施工管理などを推進するモデルプロジェクトなどの先進的な取り組みにも挑戦したい。
 インフラメンテナンスに関して、18年には今後必要になるメンテナンスの長期推計を実施したが、予防的・計画的にメンテナンスを進めると、トータルのコストが低減される。国や地方公共団体等において予防保全の考え方を徹底することによって施設として供用できる期間も長くなり、次の修繕費用も削減できる。

 ―外国人労働者を含めた建設業の人材確保に向けた取り組みについて
 石井 建設業において現場の担い手の確保が重要な課題になっている。このため適切な賃金水準確保や長時間労働の是正等の働き方改革に取り組んでおり、引き続き生産性向上、国内人材確保の取り組みを着実に進める。
 一方で、このような取り組みを行ってもなお不足する労働力について建設分野でも新たな在留資格による外国人材の受け入れを行う。受け入れに当たっては、技能者全体の賃金に悪影響を与えることがないよう受け入れ企業は外国人材に対して同等の技能を有する場合と同等以上の報酬を安定的に支払い、技能の習熟に応じて昇給を行うことなどの要件を課す。19年4月の制度開始に向けて、関係省庁等と連携しながら外国人材を含めた建設業の担い手確保に全力で取り組みたい。

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