【月間アーカイブ・2月】 労務単価、技術者単価が最高値
2019/03/05建設時事
建設メール
【注目の動き】
国土交通省が22日に公表した3月から適用する公共工事設計労務単価は全国全職種加重平均値が1万9392円、設計業務委託等技術者単価は全職種単純平均値が3万9055円となった。いずれも単価公表を開始した1997年度以降では最高値を記録した。
また国交省は新単価の適用に当たり、労務単価には必要経費として事業主が負担すべき法定福利費や安全管理費などの人件費が含まれていないことを、あらためて強調。さらに事業主が下請け代金に必要経費分を計上しない、または下請け代金から必要経費を値引くことは不当行為であることを明確にし、適正な価格で契約を結ぶよう求めた。
実勢単価が正確に反映されていることを踏まえれば、太田昭宏前大臣や石井啓一大臣が建設業団体に対して継続的に要請してきた適切な賃金水準の確保が一定の成果を上げ、元請け企業も努力した結果と考えられる。ただ職種別で交通誘導警備員の単価が大幅に上昇していることは、裏を返せば単価を上げなければ人が集まらないという厳しい現状を物語っている。今後は公共事業の円滑な執行とともに、地方自治体を含めて新単価を用いた適正な価格による発注が進み、現場で働く人の賃金水準がしっかりと向上するような取り組みの徹底が求められる。
【直轄で余裕期間制度の活用原則化】
国の第2次補正予算に盛り込まれた防災・減災、国土強靭化のための緊急対策を速やかに進めるため、国交省は見積もりを活用した予定価格の設定、余裕期間制度活用の原則化などの対策を講じて、公共工事の施工確保に万全を期す考えを示した。
直轄工事の施工確保対策では、発電設備設置工や高力ボルトなど一部の工種・建設資材等について当初発注から見積もりを活用する。余裕期間制度の活用は建設資材や労働者などが確保できるよう原則化。現行で工期の30%かつ4カ月を超えない範囲とする上限も緩和し、当分の運用として工期の40%かつ5カ月を超えない範囲内で設定する。他にも不調案件について一定の条件を満たす場合は随意契約を実施するなど、新たな対策に取り組む方針だ。今後は地方自治体の発注でも国の取り組み等を参考にした柔軟な対応が期待される。