【関東整備局】 吉見統括防災官「迅速・的確な支援へ、平時には連携体制を強化」
2019/04/16インタビュー
4月1日付で新設された関東地方整備局の統括防災官(部長級)に就任した吉見精太郎氏が建設専門紙の合同インタビューに応じた。局長直下の専属組織として約20人規模の人員からなる組織のトップで「全国で災害が頻発し、激甚化もしている。TEC-FORCE(緊急災害対策派遣隊)派遣の回数や人数も増加し、一層の迅速かつ的確な支援活動が求められている」と語った。
防災組織はこれまで企画部にあったが、迅速かつ円滑な応急対応のため新設。災害時におけるTEC-FORCEの派遣調整・指揮命令体制を強化し、平常時には隊員のスキル向上に向けた訓練・研修を繰り返し行う。並行して都県政令市、警察、消防、自衛隊など関係機関との連携体制を構築する。「日ごろから顔の見える関係性を整えて連携したい」と決意を示した。
就任後順次、都県政令市を回り「TEC-FORCEに期待する声を肌で感じる。お互いに訪問しやすい環境を整えたい」と話す。また「地域の建設業者にオペレーションを担ってもらうことになるので一層の連携が必要」と認識している。
仮に、関東で大規模災害が発生した場合は「総力戦になる」と捉えており「本局、出先関係なく全ての職員が当事者意識を持って取り組んでいかなければならない」と強調。そのために「意識の醸成や底上げが大事になる」と意識している。
2013年には内閣府に出向し、地方自治体の防災力向上に向けて職員を育成するため防災スペシャリスト養成研修を立ち上げた。防災のスペシャリストを講師に招き、網羅的にできるカリキュラムを用意し自治体職員に無料で受講してもらった。振り返ると「当時の経験は大きい」と語る。
平成30年7月豪雨では四国地方整備局に総括班の隊長として出向いた。「ITやAIの活用により技術力の効率化・高度化につながるのではないか」とも述べた。
【略歴】 1985年熊本大学工学部環境建設工学科土木コース卒、86年土木研究所地震防災部振動研究所採用。企画部技術調査課建設専門官、長野国道事務所長、企画部技術開発調整官などを歴任。鹿児島県出身、57歳。趣味は昔のフォークソングを聴くこと。好きな楽曲は吉田拓郎さんの『人生を語らず』。