【総合評価+記者の眼】 手持ち工事量の評価も可能に
2016/05/10記者の目/論説
建設メール
国土交通省は直轄工事における総合評価落札方式の運用ガイドラインを一部改正した。担い手3法の改正を踏まえた柔軟な運用が可能となるように必要な見直しを図ったもの。注目は多様な要素の評価で、手持ち工事量等を評価項目で選択できるようにした。
受注者の手持ち工事量の増加が品質低下につながる恐れがあるため、企業の能力等の資格要件・評価項目の「その他」を「その他(手持ち工事量等)」に変更し、評価項目として設定しやすいように見直した。今後、各地整で地域性などを考慮しながら方針を定めて順次運用を図る。
また、段階的選抜方式の本格運用に伴い、一般競争入札の総合評価落札方式で行うことを明確にしたほか、絞り込みの考え方を整理した。適用工事は拡大される見通しで、技術提案を求める競争参加者数が比較的多くなることが見込まれる工事を中心に活用を検討する。
さらに表彰の評価に関しては対象年数ではなく、発注量、企業数、表彰数を考慮して地整の裁量で設定することにした。
その他、配置予定技術者の技術者評価について、原則として産休期間等を評価期間の対象から除外することも明記した。
〈記者の眼〉
国交省が手持ち工事量と品質の関係を分析した結果、直轄工事で急激に受注件数が増加した場合は、企業のバックアップ体制や技術者の体制が手薄になる恐れがあり、手持ち工事量が増えると工事成績評定点が下がる傾向にあることが確認されている。今回の見直しにより地整の裁量で手持ち工事量が少ない企業を高く評価する可能性が出てくるため、受注機会拡大につながる可能性が高い。
地整によっては本年度の総合評価落札方式の実施方針を既に決めている場合があることから、導入時期に差が生じる見通しだが、受注の偏りを無くすためにも早期の導入が期待される。