〈冬虫夏草〉 貧困について
2019/06/10コラム
冬虫夏草
近年、日本の貧困率が上昇している事が問題になっている。
OECD(加盟国30か国)の統計によれば、日本は約15%(ワースト4位)で、OECD平均を上回っている。
ちなみに、日本における貧困とは2012年の場合、所得が122万円未満の人を指している。
また、これは政府が所得を把握している人を対象とした数字であり、アルバイトなどで生活を支え、住民票の住所と現在住んでいる住所が違う(警察の取り扱いでは住所不定)人は対象となっていないので、実数としては大きくなるものと考えられる。
さらに、貧困問題は地方においてはさらに深刻だ。
東京都の最低賃金は985円/時、埼玉898円/時、千葉895円/時、神奈川983円/時だが、九州では福岡を除く各県は概ね762円である。
九州では、住居費などが安いことはあるが、消費財の金額には相当な開きがあるわけではないので、生活の苦しさは一層で、車などを維持できなければ、就労にも差しさわりができ、負の連鎖となっている。
国は対策として自立困難者支援事業を行っているが、就労が継続されないことが多く、困難を極めている。
自立困難者となるケースは様々だが、大抵の場合、アルコールやギャンブルへの依存症、地方では飲酒運転などによる自動車免許不所持が多い。
また、復帰を妨げる要因として就労に適した生活リズムの確立の困難さがある。
つまり、月曜日や金曜日にやたら休んだり、遅刻が多いなどという具合である。
本年度に就職した若者は、職場に慣れることよりも就労リズム(生活リズム)を身につけることを第一に実行してほしい。
特に、大学生は生活リズムが一変する。職場に慣れることは時間が解決してくれるが、生活リズムは自らを律することができないとひずみが蓄積することとなる。
一部のキャリアアップを除き、職を離脱することは、貧困へ一歩一歩近づいていることを自覚してほしい。
そういえば、貧困問題の主務官庁は厚生労働省となる。同省トップである事務次官は自ら女性の貧困について実地調査していたことが思い起こされる。勤勉である。