〈壁耳〉 i-Constructionセミナー/初期段階では優遇措置も必要
2016/05/27記者の目/論説
建設メール
記者 弊社が主催したi-Construction(アイ・コンストラクション)セミナーでは有識者、発注者、機械メーカー、レンタル会社、建設会社の関係者が活発な意見交換を行い、盛り上がりましたね。
デスク 業界関係者は予想どおりICT活用工事の発注量が知りたいと率直に発言していた。特にレンタル会社は先行投資をしてICT建機を準備し、工事の規模を考慮した年間の稼動率を予測しなければならないため、情報提供を求めていたが、切実な問題だろう。今の稼動状況では余裕はありそうだが、今後は確実に需要が増えるわけだから万全を期したい気持ちは理解できる。
記者 現時点で発注量は分かるものなのですか。
デスク 地方整備局が発注する予定価格3億円以上の土工工事や「発注者指定型工事」は確実にICT活用工事となるが、問題は地域建設業者が対象となる「施工者希望型工事」で、これは施工者が提案するかどうかで件数が違ってくる。発注者としても答えがないのが正直なところではないか。ただ、ICT活用工事の場合、従来の建機からの増加分としてICT建機のリース料とICT建機を初期導入した場合の指導経費などの必要経費が上乗せされることを知らない業者も多く、まだまだ周知する必要がありそうだ。
記者 発注者の意識改革を求める意見もありましたね。
デスク これまでの情報化施工の際にも監督の仕方が分からず、「発注者指定型」であっても情報化施工をやらなかった例が紹介されていた。アイ・コンストラクションで同じようなことが起こってはならない。監督者の教育も併せて進めなければいけないだろう。
記者 画期的な提案も出ましたが。
デスク アイ・コンストラクションに関する研修を受けた場合にCPDSを1・5倍にするといった割増のことかな。ICT活用工事で特別に早く、きれいに施工できた場合は表彰するという提案もあった。制度を普及させるために初期の段階では思い切った優遇策が必要なのかもしれない。
記者 課題は山積ですね。
デスク 大事なことはICT建機を使って工事をすることではなく、いかに生産性を向上させるのかということを忘れてはならない。施工能力の向上に加えて、3次元データを活用することで日々の報告書作成といった事務処理量が減れば、週休2日の確保にもつながる。国交省が短期間で新しい技術基準をまとめたのは極めて異例で、本気度がうかがえる。地方自治体や地域建設業者も、まずは興味を持ち、実際にICT活用工事に触れてみることが大切だと思う。