
国土交通省の藤井直樹国土交通審議官は就任インタビューで、担当する国際業務の中でインフラシステムの海外展開が最重要課題との認識を示し「新興国を中心に世界のインフラ需要が拡大する一方で、競合・競争が増えてきている。質が高く、造るだけでなく、メンテナンスも含めて総合的なものを造るといった、わが国の強みを受注競争を勝ち抜く手段にしていきたい」と意気込みを語った。また「官邸も含めてトップセールスをしっかりとやることで、わが国の企業が参入しやすい環境を作ることが極めて大事になる」と強調した。
インフラの需要が多方面にわたる中で「新しいコンセプトとして世界共通で拡散していこうという代表例がスマートシティ。日本でも注目を浴びつつあり、海外でも関心を集めている」と説明。高速鉄道などに加えて、まちづくりの知見も海外へ展開することで「成長途上の痛みを解消する手段として提供できる」と考えている。
国交省が毎年策定する「インフラシステム海外展開行動計画」の2019年版では今後3~4年に注視すべきプロジェクトとして83件を選定した。昨年度は10件を日本の企業が受注したことから「総合力を発揮する中でしっかりと勝ち取れるものは勝ち取っていきたい。全体的な傾向として企業が海外に活路を求める傾向があると思う。国交省として役に立てるようにしていく」と話す。
整備新幹線の整備と新幹線ネットワークの充実については「整備新幹線は、あらためて期待が高まっている。北陸新幹線が代表例だが移動時間が革命的に短くなり、特に観光面で脚光を浴び、地域を活性化する動きが出ている。今後の地方創生につながる大きな力がある」と述べ、財源の確保や地元調整などの課題に取り組む姿勢を見せる。
国際コンテナ戦略港湾の機能強化に向けては「なるべく多面的に使っていくことを進めてきている。AIターミナルも含めて、少しでも使いやすくコストの低い港湾を造り、港湾のネットワークを充実させる。世界の経済情勢の変化にも目を配りながら、日本の経済活動・社会活動に支障を及ぼさないような港湾を目指す」とした。
【略歴】ふじい・なおき
1983年東大法学部卒、運輸省採用。国交省総合政策局政策課長、大臣官房審議官(総合政策局、鉄道局担当)、総合政策局公共交通政策部長、自動車局長、鉄道局長、大臣官房長を経て本年7月9日付で現職。58歳。岡山県出身。担務は交通関係施策・国際関係事務の総括整理。