〈壁耳〉 関東地整がICT活用工事の初弾公告
2016/06/02記者の目/論説
建設メール
デスク 初弾は霞ヶ浦河川事務所が茨城県行方市で計画する「H28小高地区整備工事」となった。一般土木工事Cランク業者が対象の比較的規模が小さい工事で、「施工者希望Ⅱ型」が採用されている。今後を占う上では興味深い案件と言える。
記者 どういうことですか。
デスク 予定価格3億円以上の大規模土工工事の場合、自動的に「発注者指定型」となる。上位ランクのゼネコンが対象で、情報化施工にも慣れている。「施工者希望型」はⅠ型とⅡ型に分かれるが、Ⅰ型は土工量が2万立方m以上の工事で、総合評価で加点評価する。Ⅱ型は土工量が2万立方m未満で、総合評価の対象とはしないため、参加へのハードルは低い。Ⅱ型を採用した今回は覆土および耕地整備を行う土工規模が約7000立方mの工事で、発注規模は1億円~2億円。総合評価落札方式の「地域密着工事型」対象工事でもある。今後の地方自治体への展開も見据える国交省としては、どの程度の業者が参加し、ICT活用工事を希望するかどうかを把握するには丁度良い規模ではないか。
記者 入札参加業者はICT活用工事を希望するでしょうか。
デスク 任意であるため何とも言えない。ただ対象地区で昨年行われた2億円程度の関連工事を調べてみると、20社以上が入札に参加している。入札への参加とICT活用工事を希望することは別の問題なので難しいところだが、情報化施工の実績がある企業は手を上げるだろう。設計変更により必要な経費は精算されるし、工事成績での加点評価もある。
記者 ICT活用工事と情報化施工は違うのですか。
デスク ICT活用工事は①3次元起工測量②3次元設計データ作成③ICT建機による施工④3次元出来形管理等の施工管理⑤3次元データの納品―の全ての段階でICTを活用する工事を指す。簡単に言えば、これまでICT建機による施工を行っていた部分が情報化施工となる。今回の場合もICT建機による施工のみ行うことは可能で、機械施工経費は変更計上される。ただし工事成績では加点対象にならない。
記者 受注者側にも、いろいろなメリットがありそうですね。
デスク i-Constructionの目的は現場の生産性向上。実際にやってみなければ分からないが、ICT活用工事が実現すれば、工期短縮、人件費削減、休日の取得にもつながるはず。他にも建設現場の魅力が増し、給料が上がり、死亡事故がゼロになり、若者がどんどん入ってきて…
記者 もう、それぐらいにしておきましょうか。