〈冬虫夏草〉 日本の文化
2019/11/05コラム
冬虫夏草
東京オリンピックを控え、『おもてなし』を目指すせいか、諸外国を意識した施設や設備が整えられている。
これまでもインバウンドを取り込もうと外国語に対応したメニューや外国人を対象とした体験教室などもあった。
しかし、それは主要な訪日客である中国人や韓国人を対象にしたものが多かったのが、今回は全世界を相手にする方向性も見えてきている。
だが、果たして日本の文化とは一体どういうものだろう。
漢字も神社仏閣も日本古来のものではない。あえて言えば、平安時代の国風文化時代の書院造などであろうか。
そんな、古い時代をひも解かなくとも、世界に誇れる日本の文化(特色)は、一言でいえば、几帳面であることだ。
清潔なのは、世界に誇れるもので、トイレなどがそのいい例だ。安全で清潔なのは世界で特異な存在である。
日本人にとっては当たり前なのだが、トイレットペーパーをトイレに流せない国が圧倒的多数で、シャワー付きトイレが日本初なのは御存じの通りだ。
訪日した外国人がまず驚くのが、トイレ事情で、コンビニなど至る所にあり、誰もが利用できる形態にも拘らず、清潔であり、便座を消毒するものがついていたり、用を足す際の音を消すための音が出たりと、驚くべき仕掛けで、日本人の気配りを感じさせるそうである。
余談だが、中国の一部では(学校などではその様なところもあるそうだが)隣との一切の仕切りがなく、開放的なトイレ(大きい方もである)があり、『ニーハオトイレ』と言うそうである。
電車などの公共交通機関の時間が正確なのも有名な話である。電車にまつわる話では、その他でも『静か』『綺麗』などがある。
日本人の基本的姿勢として、決められたことに対して几帳面に守り、実行するだけでなく、往々にしてその中で極めようとする精神がある。
侘び寂びの精神は、見た目ではない、精神性の世界なのである。
一部の建築の世界を除き、建設の世界は規格の世界で精神性とは関係ないようでもあるが、規格にないところにおいても、きっちり仕上げるのは日本的なところであろう。
舗装工事において、道路の両端の仕上げをみると、諸外国では、自然と流れており、日本みたいにきっちり角が取れている国はき極めて少ない。
どうせ、しばらく経つと角は取れていくものだが、それでも拘るのが日本精神にあふれた職人である。
寄稿者:冬虫夏草
長きに渡り、地方自治体における総合評価制度の実際の現場で評価に携わってきた
現在も総合評価制度を探究し、ゼネコンはじめ多くの建設企業から相談を受けている