【中建審総会】 標準請負契約約款の改正案を了承
2019/12/13建設時事
建設メール
国土交通省の中央建設業審議会(中建審)の総会が13日に開かれ、改正民法を踏まえた建設工事標準請負契約約款の改正案が了承された。中建審では、受発注者に対し2020年4月からの新たな約款の活用について年内にも勧告する。
改正に当たっては本年度にワーキンググループを5回開き、見直しの内容を検討してきた。注目は譲渡制限特約の扱いで、公共工事約款では、あらかじめ発注者の承諾を得た場合の債権譲渡に当たり、承諾する例として完成検査に合格した後に請負代金債権を譲渡する場合の記載を加えた。民間建設工事(甲・乙)および下請約款に関しては前払いや部分払いの有無など、その建設工事の資金調達の事情などに応じて2つの選択肢を示し、使用できるようにする。また違反があった場合の対応として、譲渡制限特約違反や当該工事の施工以外に譲渡で得た資金を使用した場合、暴力団等に譲渡した場合(公共)は「無催告解除」を、使途に関する資料提出の報告を拒否または虚偽報告をした場合には「催告解除」として約定解除権を規定する。
契約不適合責任の関係では、「種類又は品質に関し契約の内容に適合しない」ことを「契約不適合」と定義し、発注者の権利として修補と代替物の引き渡しによる履行の追完請求を規定し、応じない場合は代金減額請求できることにした。
契約の解除に関しては、現行約款に解除事由として規定している事項を、催告と無催告のどちらに該当するかを検討した上でそれぞれ規定し直す。
契約不適合責任期間については、引き渡しから原則2年以内、設備機器、室内装飾、家具等は1年以内に変更し、発注者は原則として同期間内に請求を行う必要があることにする。ただし期間終了直前に契約不適合が発覚した場合の発注者保護の観点から、通知を行えば通知からから1年間請求することが可能になる救済措置を規定する。
他にも建設業法改正に伴う措置として、「工事を施工しない日又は時間帯を定めるときはその内容」の追加や、監理技術者補佐を配置する場合の氏名の通知、著しく短い工期による請負契約の締結禁止を規定する方針だ。いずれも20年10月1日の改正法施行に合わせて適用となる。
総会では国交省が新・担い手3法など建設業を巡る最近の取り組みを紹介したほか、台風災害への対応について国交省、日本建設業連合会、全国建設業協会が説明した。