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【新春インタビュー】 赤羽一嘉国土交通大臣/直轄工事で新技術の活用義務化へ

2020/01/06インタビュー

建設メール

 赤羽一嘉国土交通大臣は2020年の新春インタビューで、防災・減災、国土強靭化に向けた対策を着実に進めるとともに、19年度補正予算と20年度当初予算を合わせた15カ月予算を活用した必要な施策の推進に意欲を見せた。また若者の入職につなげる上で新・担い手3法や建設キャリアアップシステムの重要性を強調したほか、直轄工事で新技術活用を原則として義務化するなど新しい技術を積極的に活用していく考えを示した。

 

 ―台風19号など相次ぐ大規模な自然災害を踏まえた、防災・減災、国土強靱化、老朽インフラ対策など、今後の社会資本整備・更新の進め方は
 赤羽 近年、激甚災害が各地で発生している。私は災害が起きた直後はどんな激甚災害でも現地に行っているが、どの地域に行っても被害が尋常ではない。やはり気候変動による激甚災害の頻発化、激甚化が進み、従来型ではない状況にある。
 復旧工事は元に戻すのが原則だが、元に戻しただけでは再度災害の防止ができないと近年は言われていて、「防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策」は、そうした観点から改良工事や復旧・復興対策を3カ年で集中的にやっている。この3年間の対策は被災した首長の皆さんが感謝してくれているが、同時に危ないところはここだけではない、そこについての予算的な裏付けが欲しいということを言われてきた。ほとんど全員がこの緊急対策後に本当の国土強靱化を推進することが必要だと言っている。
 補正予算では1兆1865億円、来年度の当初予算で5兆9368億円の公共事業関係費を計上させていただいた。補正予算と来年度の当初予算の15カ月予算で相当な事業費を積んでいるが、3か年緊急対策を粛々と実行していくことが一つ。補正予算でも今回の被災地域に対する当面やらなければいけないことにしっかりと手を付けていく。
 社会資本は高度成長期に造られたものが大半なので、壊れて作り直すよりも、今から老朽化対策に手を打っていくことが、結局は時間もコストも抑えることになる。
 ―昨年6月に成立した新・担い手3法について、建設業界の期待も大きいが、定着・普及の課題も指摘されている。どのように進めていくのか
 赤羽 一連の災害の現場で最初に最前線に走って復旧工事を全力でやっていただいたのは、ほとんどがその土地の建設業界の皆さんだった。まさに地域の担い手そのもの。わが郷土は全力で守らなければならないという思いで対応に当たり、台風19号で決壊した河川堤防の復旧工事が早期に完了したのも、現場の皆さんが24時間体制で戦った結果だと思う。
 建設業界は、やはり人手が足りない、若い人が入職しない。その中で働き方改革の推進や生産性向上、災害時の在り方などが盛り込まれた新・担い手3法の成立というのは、大変大きな意味があると思う。その法の精神や内容が現場でしっかりと反映できるようにしていく必要がある。
 ―建設キャリアアップシステムの普及と定着を進めていく上での考えは
 赤羽 建設業界だけではなく、介護業界なども同じだと思うが、何年も勤めて技術や能力がアップしたけれども、その評価が正当にされないと、なかなか若い人が入りにくい。会社が途中で変わった時にまた一からやらなければいけないということも大変残念なことだと思う。そういう意味で建設キャリアアップシステムが普及できるかというのが大変重要だ。
 良い制度であれば、その業界の人たちも協力しなければいけない。長期的な課題ではなく喫緊の課題として、それが当たり前の制度というのができればいいなと思う。やはり建設業が業界を挙げて変わっていくという姿勢がすごく大事。ものづくりというのは国の力でもあるから、この制度は何とか成功させたい。
 ―激甚化・頻発化する災害への対応や現場の生産性向上のために新技術を積極的に活用していくべきだと考えられるが
 赤羽 生産性を向上させるi-Constructionは必要。物流業界も同じだが、人手が必要なところは、コストをかけてもAI(人工知能)やロボットの導入は不可避なのではないか。
 2020年度からは原則として直轄工事における新技術活用(NETIS登録技術の活用)を義務化することも始める。国を挙げて建設業界のグレードアップを図ることで、若者たちも誇りを持って入ってくることになると思う。そこはしっかりと進めていきたい。
 ―所有者不明土地の対策と土地基本法改正の進め方について
 赤羽 土地の所有と管理の在り方をどうしていくのかが課題となっている。法務省と連携して通常国会で法案を提出させていただく予定だ。所有者不明土地や管理不全土地の解消、適正な利用と管理に向けて、通常国会では法全般で土地の管理の重要性等を明確化することと、土地の適正な利用管理を確保する基本的施策の今後の方向性を明示する土地基本方針を新たに創設する。権利関係や境界の明確化を内容とする土地所有者等の責務規定も追加する。
 土地基本法の改正と同時に、地籍調査の円滑化・迅速化を内容とする国土調査法改正も行う。通常国会における大きな法改正だと思うので、しっかりと取り組んでいきたい。

 

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