〈冬虫夏草〉 絵に描いた餅
2020/02/25コラム
冬虫夏草
国土交通省は、昨年6月「公共工事の品質確保の促進に関する法律の一部を改正する法律」公布・施行した。
品確法では、発注者の責務として▼適正な工期設定 (休日、準備期間、天候等を考慮)▼施工時期の平準化 (債務負担行為や繰越明許費の活用等)▼適切な設計変更(工期が翌年度にわたる場合に繰越明許費の活用)を挙げている。
建設業法・入契法においても、中央建設業審議会が、工期に関する基準を作成・勧告を行い、著しく短い工期による請負契約の締結を禁止するとしている。
また、建設業法においては、監理技術者:補佐する者(技士補)を配置する場合、兼任を容認するとしている。
志向する方針としては、すごくいい。
「働き方改革」において、限りなく週休2日への圧力は強くなっていくであろうに、適切な工期も、担保する財源も示されていないならば、どうすればいいのと言いたくなるであろう。
では、今回法律の改正は地方公共団体において十全に活用されているのであろうか。
結論から言えば、否である。
そもそも、債務負担行為は予算計上時から組まれるものであり、計画性が必要となる。
繰越明許費の設定にしても、対応はされても、工期延長に伴う経費の積み増しが充分に対応されているとは言い難い。
工期が延びるということは、担当技術者の人件費だけでなく、リース等が伸びることによる経費の増大が生じるということである。
発注者にとって、予想できない増額が翌年度予算を圧迫することは、絶対に避けたいはずである。
地方公共団体にとって、投資的経費が当初予算より1割以上増える事態など悪夢でしかない。余程目玉施設の建設でなければ、積立金を取り崩すということもされるはずもない。
つまり、利益が相反するのである。
現在は、積算はユニットが主流であり、地方の発注者においての技術力の低下は目を覆うものがある。
工程や適切な仮設を設定できない、想定できない技術者が果たして適切な工期を設定できるのであろうか。
監理技術者の専任を外したのは、人材の不足が主要因であろうが、英断であろう。
寄稿者:冬虫夏草
長きに渡り、地方自治体における総合評価制度の実際の現場で評価に携わってきた
現在も総合評価制度を探究し、ゼネコンはじめ多くの建設企業から相談を受けている