〈冬虫夏草〉 生産性革命
2020/03/03コラム
冬虫夏草
国は今「生産性革命」を大きなスローガンとしている。
日本の時間当たり労働生産性は46.8ドルで、OECD加盟36カ国中21位で、上位にはルクセンブルク、ノルウェー、米国などがいる。
我が国は、主要先進7カ国でみると、データが取得可能な1970年以降、最下位の状況が続いている。
また、日本の1人当たり労働生産性は、81,258ドルで、OECD加盟36カ国中21位。
労働人口も減少傾向になる中で、生産性が上がらなければ国力は落ちるばかりだ。
日本建設業連合会は昨年末に東京で、先月末には大阪において、VE等施工改善事例発表会を開催し、生産性向上を図っている。
しかし、日建連が「生産性向上推進要綱」を発表したのは2016年で、建設業界が一丸となって、生産性向上に取り組むとしていた。
一方、肝心の生産性は建築部門では上昇しているが、土木では改善が微々たるものである。
思うに、建築の生産性が上がっているのは、製品の向上(技術)が主たる要因であろう。
土木の現場では、転圧を衛星でチェックしたところで、作業効率が1.5倍になることなどないであろう。
例えば、舗装工事をとってみれば、1回の発注で20,000㎡施工するものと100,000㎡施工するのでは、どちらが施工効率がよいかは素人目にも明らかである。
国土が狭く、幅員も狭い我が国の道路事情が起因するものも多いが、数字に置き換えられると「生産性」が悪いとなる。
一方、建設業のみならず生産性向上の阻害要因となっているのが、マネジメントではなかろうか。
日本は地震大国ではあるが、震度6以上の地震が襲う可能性が低い地域は(確率が6%以下)、大雑把に言えば国土の9割程度である。
しかし、重要構造物は全国一律に耐震基準が求められる。
「人口が増え、予算が増えている時代は、大きな施設を造っても何とか回していけたが、今は地方の人口は減少し、予算もない。そのなかで、100億円、200億円規模の損失を伴うような公共事業の失敗をすれば、それだけでリコールにつながる。だから、地方も公共事業も、生産性を無視したものではなく、地方の生産性を引き上げるような事業でなくてはならない」と、木下氏は言う。
人口減少社会を迎える日本にとって、生産性の向上は必須だ。そのためには、組織のリーダーがその必要性を認識することが、何よりも求められる
寄稿者:冬虫夏草
長きに渡り、地方自治体における総合評価制度の実際の現場で評価に携わってきた
現在も総合評価制度を探究し、ゼネコンはじめ多くの建設企業から相談を受けている