〈冬虫夏草〉 前マハティール首相
2020/03/24コラム
冬虫夏草
2月24日に辞任を明らかにし、暫定首相だったマハティール・ビン・モハマド氏を破っての新首相就任だ。
だが、今回注目したいのは首相の座を降りたマハティール氏の方だ。
同氏は1925年生まれのマレーシアの政治家であり医師。
第4代のマレーシア首相(1981年~2003年)及び第7代首相(2018年~2020年)そして暫定首相(2020年2月24日~ 3月1日)だった。
現在の年齢は94歳。92歳で第7代首相として返り咲いていたのである。
マハティール氏の政策として有名なのが、「ルックイースト政策」であり、日本の集団主義と勤労倫理を学べという政策である。
欧米諸国ではなく、日本の経済成長を見習おうという政策などをはじめ、強力なリーダーシップにより、マレーシアの国力を飛躍的に増大させた。
当時は社会基盤の基本ができ、マレー人の社会的地位が向上し、マレーシア国内の社会的安定が達成されつつあった、
しかし、旧宗主国であるイギリスのくびきから逃れるため、マレー人が優先的に採用された公的機関では非能率と怠慢が横行し、ビジネス界においても、企業の生産性より過度の個人主義的、利己主義的な傾向が顕著になっていた。
これらの西欧的な個人主義は、個人のスキルが一般的に育っていない状況においては、国全体の発展を阻害するものとなっていた。
そこで、第4代首相として登場したマハティール氏は、個人の利益より集団の利益を優先する日本の労働倫理・勤勉さに学び、過度の個人主義や即物的な価値観を修正すべきである、とする提言を行ったのである。
こうしたマハティールの提言から、マレーシア国内では日本に対する関心が高まることになり、人材育成の一環として日本への派遣留学が急増した。
また、交換留学などで日本からマレーシアへ渡る人も多く、やがて急激な日本企業の進出という事態も引き起こした。
日本企業による地元企業の圧迫や基本的な文化の違い(同国は立憲君主制で、国王はスルタンによる互選で選出され、世界でも珍しい、選挙で選ばれる任期制の国王)や華僑などとの民族問題、中央と地方の文化の格差など様々な問題を抱えつつも、2003年のマハティール氏が首相であった時期に関しては、一貫して親日本であった。
しかし、近年は経済成長著しい中国や欧米への留学が急増し、対照的に日本への留学は減少傾向にある。
マハティール氏は政界から去るであろうが、日本もアジアにおいて埋没するわけにもいかない。
寄稿者:冬虫夏草
長きに渡り、地方自治体における総合評価制度の実際の現場で評価に携わってきた
現在も総合評価制度を探究し、ゼネコンはじめ多くの建設企業から相談を受けている