〈冬虫夏草〉 大国としてのアメリカ
2020/06/02コラム
冬虫夏草
これは、かつての冷戦時代とは一線を画すものだ。
冷戦時代は東側と西側に分かれ、経済的な依存状態はなかった。
しかし、中国は独占的地位ではなくなったものの世界の工場であり、消費大国であり、ITを牽引する国である。
アメリカは長い間、世界の警察であり、食における穀物メジャー、エネルギーにおいては石油メジャーがあり、プルトニウムの最大産出国である。
しかし、パクスロマーナと同様にパクスアメリカーナも終わりを告げた。
中国はかつてのイギリスやアメリカのように、覇権主義を露わにしている。
アメリカは合衆国の確立において、原住民のネイティブアメリカ人を徹底的に迫害し、西部劇でも明らかなように、ネイティブアメリカ人を殺すことさえ正義としていた。
中国でも、ウイグル自治区における迫害は目を覆うばかりである。
アメリカ議会では、ウイグル自治区の迫害から逃れてきた女性が講演を開いており、これらよりウイグル自治区における中国の活動を非難する決議案が承認されている。
日本のマスコミも弱腰で、ウイグル自治区で何が起こっているかを徹底的に、継続的に報道するものはいない。
それゆえ、日本では広く知られている事とはなっていないが、香港に適用される国家安全法と同じように、反体制を力でねじ伏せようというものだ。
国家にとっては、他国の行為は残忍に見えても、自らを省みることは難しいのだろうか。
今、アメリカは「IT」「知的財産」「香港」「台湾」「ウイグル自治区」「WHO」など様々な問題において中国と先鋭に対立している。
さらに、アメリカは中国を除いた新しいサプライチェーンの構築の構想を提案している。
アメリカにおいてトランプ氏が選挙を控えているように、中国でも周近平氏は香港、台湾の反発を抱えている。
どちらも、引けない状況において、日本の取るべき道は極めて難しい。
日本はいち早く、コロナによる経済的停滞から抜け出したいところであるから、ことさら中国と事を構えたくはないだろう。
これまでは、イギリスにしろアメリカにしろ、世界経済をけん引する大国がいた。
一方、政治体制から見ても、中国が世界を牽引することはないだろう。自国第1主義と言うより、自国のみ主義の恐れが大きい。
大国がいなくなった世界はもっと恐ろしい。
寄稿者:冬虫夏草
長きに渡り、地方自治体における総合評価制度の実際の現場で評価に携わってきた
現在も総合評価制度を探究し、ゼネコンはじめ多くの建設企業から相談を受けている