
 国土交通省道路局の吉岡幹夫局長は、コロナ禍で道路の重要性が再認識されたとし「暮らしを支え、経済を支える大事な仕事をしている責任を感じている。国民の目線、利用者の目線で仕事を進めたい」と抱負を語る。また各種制度に対しては「継続すべきものは継続し、見直すべきものは見直していく」との姿勢を見せる。加えて「空港、港湾、鉄道も最後の足は道路を利用している。他の交通機関や住宅等の立地も意識しながら連携を図りたい」と考えている。
 
 道路の分野におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)に関しては「徹底して自動化、省人化を図る必要がある。手続きはできるだけオンライン化、キャッシュレス化、タッチレス化ができないかと思っている。新技術を使っていくことも重要だ」と述べ、i-Constructionやリモート型新技術導入にも取り組むと話す。
 国土強靱化に向けては「毎年のように災害が発生しており、とにかく早く現地に緊急車両が行けるようにすることが大事。途絶させないことが一番だが、早く復旧し、いろいろな活動ができるようになることが道路には求められている。ミッシングリンクはあってはならないが、九州や西日本の豪雨では高速道路を4車線化にしておいたおかげで早く復旧できている。高速道路と下を走る国道をうまく組み合わせてネットワークを連携させておくことも進めなければならない」と指摘する。
 道路施設のメンテナンスや老朽化の対応では、予防保全へ移行することの重要性に言及。「せっかく作った施設を良好な状態で次世代に引き継ぐことが極めて大事。点検が二巡目に入り、特に今は自治体管理の施設をどうしていくかが課題」とし、個別補助制度の予算等の確保や、国や都道府県が直接行う技術的支援のほか、道路メンテナンス会議の場も活用しながら支援を進めていく。
 無電柱化の推進に対しては「防災のほか、観光立国という意味では景観のためにも進めなければいけない。無電柱化推進計画が本年度で終わりになるため新しい計画を作る」とし、占用制限、低コスト化、スピードアップの観点から進める方針で「関係省庁と連携して頑張りたい」とした。
 
【略歴】よしおか・みきお
 1986年東大工学部卒、建設省採用。国交省道路局企画課道路事業調整官、道路経済調査室長、高速道路課長、企画課長、北陸地方整備局長を経て本年8月1日付で現職。57歳。神奈川県出身。