〈冬虫夏草〉 IT社会
2020/10/06コラム
冬虫夏草
今回の新型コロナウイルス過は日本の働き方、具体的にはITを活用した社会活動の活性化を進めるだろうと言われている。
ツイッター社は一度も会社に出勤しなくてもいい社員ができるそうである。
日本においても、IT関連会社はテレワークの導入を大々的に行い、代わりにオフィス規模を縮小させることで、福利厚生などの経常コストの圧縮も図られ、一石二鳥を狙う動きが活発化しているそうである。
たしかに、建設業界においても、特に管理会社にとっては、大規模な自社ビルを建てる時代は終わりを告げている。
しかし、一方では、日本独特の社会習慣はデジタル社会の早期実現を困難にしている。
1つには、ハンコの存在である。
企業も、官公庁も、銀行も正式書類にはハンコが必要不可欠であり、これは、電子ハンコが正式に認められない限り、電子的に送付もできないから、直接会って手渡すことになる。
欧米のサインは属人的特徴を持っていることから、電子的に作っても通用するが、電子ハンコは誰もが作成可能である以上、正式な証明とはならないだろう。
新型コロナウイルス支援対策の一つである「特別給付金」の騒動は、日本のIT化の難しさを如実に表している。
住民基本台帳を基にした、給付金申請の送付及び返送に先立って、電子申請が行われたが、マイナンバーカードが必要なことから、同カードに対する問い合わせやさくせいいらいが殺到した。
それにより、マイナンバーガードを処理するサーバーが過負荷によりダウンした。
現時点でのマイナンバーカードの普及率は14%だ。
本来は全人口が登録されるはずのサーバーが、いかに集中したとはいえ、ダウンするとは、基本的能力がなっていない。
国も含め、本気でデジタル化を実現するつもりがないのではないかと疑うばかりだ。
次世代通信技術である5Gは社会の変革を実現できる性能を有している。
5Gは4Gに比べて通信速度は20倍、遅延は10分の1、同時接続数は10倍となっている。これにより、遠隔操作により、重機の操作、運搬なども可能になる。
ITに関しては、技術の進歩が目覚ましいことから、早すぎる取り組みは非効率的であるが、遅すぎる取り組みは致命的となる。
常にアンテナを立てていてほしい。
寄稿者:冬虫夏草
長きに渡り、地方自治体における総合評価制度の実際の現場で評価に携わってきた
現在も総合評価制度を探究し、ゼネコンはじめ多くの建設企業から相談を受けている