<税金豆知識> 建設経営者としてやっておきたい節税対策の豆知識
2020/09/10コラム
税金豆知識
現在の建設業界では、震災復興やオリンピックの開催によるインフラ整備などの建設需要が増えています。しかし、景気に左右されやすい業界なので、経営者は会社の資産を有効に使うためにも、節税対策はとても重要です。そして、建築業ならではの助成金や補助金などが活用できる制度もありますので、節税や助成金について説明していきます。
外注費を上手く利用してコスト削減
会社は社員を雇い給与を支払いますが、給与には消費税が含まれていないので、経費として計上することが出来ません。その上、社会保険料も会社が半分負担するので、雇用人数が多ければ多いほど負担額が増えます。しかし外注費を上手く利用することで消費税の削減、社会保険料の負担を減らす事ができます。外注費で給与を支払った場合、消費税込みの支払いになり、社会保険料も支払う必要がなくなります。例にあげると、500万円の売上があった場合、そのうちの200万円を社員に給与として支払っても、消費税は計上されないので500万円が課税対象になります。しかし他の一人親方に依頼して外注費で200万円の給与を支払った場合、300万円が課税対象になります。この方法で、消費税や社会保険料の負担を減らして節税します。
課税文書は紙媒体ではなく、電子媒体にすることで印紙税が0円に
印紙税とは契約書や手形、領収書などの文書に課される税金で、課税文書を作成したら、定められた金額の収入印紙を貼り付けて納付します。建設業界は多くの契約書が取り交わすので、収入印紙もかなり必要になり、工事請負契約書は記載している金額によって納める印紙税が変動するので、工事費が高くなると印紙税も高くなります。例えば工事費に100万円かかる場合、収入印紙代が200円になり工事が100件であれば合計金額2万円の税金で済みますが、工事費が500万円超える場合は収入印紙は2,000円、合計金額20万円になり税金として消えます。
しかし、課税文書を紙媒体で作成するのではなく、電子媒体にすることで印紙税を0円にすることが出来ます。印紙税は用紙等に課税事項を記載したものに課せられるもので、電子媒体であれば、収入印紙は必要ありません。国税庁のサイトからも「電子媒体であれば、印紙税の課税原因は発生しないもの」と明記されています。
領収書の発行の際にも収入印紙が必要ですが、クレジットカードによる支払いなら「信用取引」となり、領収書を明記したものを発行しても、課税文書としての領収書には当たりません。しかし、クレジットカード払いを領収書に記す必要があるので、必ず領収書の但し書きに「クレジットカードによる支払い」などの文章を記載しましょう。
建設業者が使える助成金とは
建設業には、様々な助成金・補助金制度があるので、これを上手く活用してみてはいかがでしょうか。「人材開発支援助成金」は、社員の職業能力を効果的に促進するために、専門的な知識や技能を修得させるための職業訓練を、受講させる事業者に対して助成する制度です。「建設労働者認定訓練コース」や「建設労働者技能実習コース」などの建設関連の訓練があります。
経営者だからこそ、日ごろからできる節税対策を!
会社の経営者ともなれば、会社の資産を有効に使い、利益の配分を考えなければなりません。現在の建設業界の景気は好調ですが、支払う税金には日ごろから注意する必要があります。また積極的に節税対策を行わないと無駄が発生していることに気付かないまま、税金を支払い続けていくことになります。節税できるものを把握しておくと納税額も減るので、今一度、見直してみてはいかがでしょうか。
寄稿者:税理士
現役税理士が、融資に強い決算書とは?、合理的な節税方法とは?など、経理面・税金面の「読んでみて少しでもタメになる話」を寄稿