
全国建設業協会(奥村太加典会長)2020年度関東甲信越地方ブロック会議が6日、都内の経団連会館で開催され、国土交通省の幹部などを招いて活発な意見交換が行われた。奥村会長は「新型コロナにより、社会や経済の混乱が収束する兆しはいまだに見えないが、落ち込んだ経済を早急に回復させるためには、生産性の向上や地域の防災・減災・国土強靱化に資する公共投資を推進し、雇用拡大を図ることが必要。特に若い世代を呼び込み、魅力ある地域建設業を目指すために皆さまから忌憚(きたん)のないご意見をいただき、有意義な会議にしたい」と会議の意義を語り、要請した。
会議の運営に当たっては、新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から「三つの密」を考慮した参加人数や配席とし、懇親会も中止とした。
最初に関東甲信越地方建設業協会長の浅野正一会長は「長期にわたる公共事業抑制政策の中で、地方の建設業社は年々減少し、技術者・技能者の高齢化が進み、担い手の確保が一刻の猶予もない状態。そのためにも来年度以降も重点的な公共投資が必要となる」と訴えた。
これに対し、国交省不動産・建設経済局の天河宏文官房審議官は、建設キャリアアップシステムの料金改定と出損金についてお詫びとお礼の言葉を述べた上で「予算についてはしっかりと確保していきたい」と答えた。
続いて国交省大臣官房の東川直正技術審議官は「デジタル化が進む中、i-Constructionを展開している。地方でも参入しやすいように積算の基準を小さな規模でも単価を合わせるなど、今後も改訂していきたい」と約束した。
関東地方整備局の土井弘次局長は「防災・減災・国土強靭化、経済活性化につながるネットワーク作りは、決して歩みを止めるわけにはいかない。しっかりと対策を取って、より地域のための社会インフラ整備を進めていく」と決意を示した。
会議における各協会からの要望は▽中・長期計画に基づく公共事業予算の継続的確保、地域建設業の受注機会確保(千葉県)▽低入札価格調査基準の改定の御礼と算定方法における一般管理費等に乗ずる係数等の引き上げ(長野県)▽建設技術者等の資格取得等に対する支援(栃木県)▽働き方改革への対応(神奈川県)▽改正品確法の市町村への徹底(埼玉県)▽生産性向上に向けて(山梨県)▽建設業におけるテレワークの実施(群馬県)▽安定的・持続的な道路除雪体制の確保(新潟県)▽災害時における応急活動に対する安全確保の強化(神奈川県)▽災害時における応急対応の効果的推進(茨城県)―だった。
ブロック会議は、28日の東北地区まで全国7地区で開催。全建と国交省の共催で両者が議題を設定し、意見交換する地域懇談会は北海道と北陸で開く。