<税金豆知識> 建設業経営者がぜひとも利用すべき助成金や補助金制度
2020/10/08コラム
税金豆知識
「人材の不足」は、多くの建設業経営者が抱える悩みのひとつではないでしょうか。しかし、どんなに新たな人材を雇い入れたくとも、雇い入れた後の人件費に不安があって踏み切れないという事業者も多いでしょう。また、思い切って雇い入れても人が定着しないという問題もあります。そういうときに、利用できる助成金や補助金制度を知っておくと便利です。ここでは建設業経営者が利用できる助成金や補助金制度について解説します。
人材の育成や維持に関するもの
最初に紹介する制度は「人材確保等支援助成金」です。年齢の若い従業員や女性従業員が会社にいた場合、その人材の離職を防ぐためのさまざまな試みに使った経費を助成する制度です。また、若年層や女性の従業員が入社するときに使用した経費に対しても、適用されます。次に「人材開発支援助成金」。これは、作業員の技能の向上や雇用環境の改善を図った際の経費に対して助成されます。この2つの制度は、経費全額に対して適用されるのではありません。「人材確保等支援助成金」はかかった経費の60%、「人材開発支援助成金」は経費の75%と、上限があります。
また、これらの助成金は助成対象が決められています。あくまでも、人材の定着や環境改善、技能向上などに使った経費と定められていますので、この定めに沿わないものは対象外です。制度の対象として分かりやすい例として、技能研修や技能検定にかかった費用があげられます。
人材の雇い入れに関するもの
人材を雇い入れる場合にも、適用できる助成金があります。例えば、「キャリアアップ助成金」です。この「キャリアアップ助成金」にはさらに、「正社員化コース」や「賃金規定等共通化コース」など、いくつかのコースが用意されています。いずれも、非正規雇用者の雇用条件や労働環境を、正規労働者に近づけた場合に適用されます。他にも、障害者や65歳以上の労働者を雇い入れた場合に申請ができる、「障害者雇用安定助成金」や「65歳超雇用推進助成金」などの制度もあります。
助成金や補助金を申請するには
助成金や補助金を利用する場合、基本的には利用する事業者が自ら申請を行うことが必要です。申請の窓口はハローワークが多いですが、制度によってさまざまですので、それぞれの制度をよく理解し、適切な窓口に行きましょう。また、特に雇い入れに関する助成金を利用したい場合、従業員を雇い入れる前から書類などをしっかりと準備して臨まないと、手続きがスムーズに進まないことがあります。助成金や補助金制度を実施している団体によく内容を確認して、準備を進めることが大切です。また、社会保険労務士などの専門家に相談するという方法もあります。
建設業経営者が利用できる助成金制度は意外と多い
人手不足や人材確保のための予算不足で、困っている建設業経営者は多いかもしれません。しかし、そういうときに建設業界が利用できる助成金や補助金制度は、探すと意外と数多くあります。また、利用申請のときには社会労務士などの専門家も力になってくれるでしょう。これまで制度利用をしてこなかった経営者は、この機会に利用を検討してみてはどうでしょうか。
寄稿者:税理士
現役税理士が、融資に強い決算書とは?、合理的な節税方法とは?など、経理面・税金面の「読んでみて少しでもタメになる話」を寄稿