【一括下請負+記者の眼】 「実質的関与」の基準を明確化へ
2016/09/12記者の目/論説
建設メール
国土交通省は実質的に施工に携わらない企業を施工体制から排除するため、一括下請負(丸投げ)に該当しない「実質的関与」の判断基準を明確にする。▽施工計画の作成▽工程管理▽品質管理▽安全管理▽技術的指導▽その他―の6項目別に元請業者と下請業者がそれぞれ果たすべき役割を定め、元請業者には全ての事項の実施を求める。下請業者の場合、各事項を主として行う必要があることを整理した。
また、昨年の基礎杭工事問題を踏まえて、下請が請け負った工事と同一種類の工事をさらに下請に出す場合、現場作業の実地技術指導など工事現場での関与を必須とすることで、商社や販売代理店を施工体制から排除する。これにより責任関係を明確化し、連絡・協議など施工確認が円滑になる見通しだ。
国交省建設業課では今回、判断基準を明確にすることで「まずは抑止力になる」としている。
9月末にも一括下請負禁止に係る新たな通知を建設業許可行政庁や関係団体へ通知する見通しだ。
※元請・下請が果たすべき役割は添付のエクセル表参照
NK20160913085002AVOE3LKCM7GLMRBH01
〈記者の眼〉
今回の取り組みは昨年発覚した横浜市の傾斜マンション建設工事で1次下請の日立ハイテクノロジーズが施工管理を実質的に行っていなかったことから、今後は同様のケースをなくすことが狙い。ただ、昨年のようなケースは問題が発覚して初めて判明するもので、今後も商社や代理店が丸投げに該当する1次下請として施工体制に入っているかどうかを全ての現場で確認することはできない。まさに「抑止力」が主な効果と言えるが、不要な下請重層構造を無くすためにも、業界側の姿勢が問われることになりそうだ。