【建設市場+記者の眼】 前倒し影響じわり 8月の公共工事動向
2016/09/14記者の目/論説
建設メール
東日本建設業保証は、保証取扱高から見た8月までの東日本地域の公共工事動向をまとめた。8月単月の請負金額は7326億円で、前年比9・6%増と大きく増加した。2001年以来、15年ぶりの高い水準になった。
上期8割の前倒し執行の影響のように見えるが、増加要因を見ると昨年度発注の除染作業の2年目のお金が600億円以上付いたほか、NTTデータからの大型案件などの影響が大きく、前倒し執行の影響とも言い切れない。
ただ、過年度発注分を除いた、本年度発注分だけを見ても、8月に入って本年度初めて前年比7・9%増とプラスに転じており、前倒し発注の影響も少しずつ出てきていると考えられる。
〈記者の眼〉
除染作業の2年目のお金を除くと請負金額は、ほぼ前年と同水準になる。そのため、増加要因は大型案件の影響と見てしまうが、一方で復興事業などの大型案件の反動減も見られる。大型の反動減があるにもかかわらず、前年並みをキープしているということは、それを補うための発注があったと考えることができる。ただ、前倒しの影響は顕著ではなく、9月に発注が集中しそうな懸念もある。