【国交省下半期発注+記者の眼】 登録基幹技能者の活用を積極実施
2016/10/13記者の目/論説
建設メール
国土交通省は本年度下半期の直轄事業において①i-Construction(アイ・コンストラクション)の推進②週休2日の推進、労働生産性の向上③現場の技術力の活用―の3本柱で発注に取り組む方針を決めた。注目は登録基幹技能者の活用で、総合評価落札方式で登録基幹技能者の配置を評価項目に設定する試行工事を全地方整備局で積極的に行う。11日に成立した補正予算関係の発注工事では約7割に当たる1360件の工事が対象となる見込みで、これまで発注が少なかった整備局でも積極的な実施が期待される。
アイ・コンストラクションの関係では、補正予算の対象工事を原則年度内に発注することで2017年度当初の稼働率を上げて施工時期の平準化を図る。ICT土工は下半期も引き続き推進する考えで、年間公告予定件数に補正予算分として約230件を追加、全体で約970件に拡大する。
十分な工期の確保に向けては、歩掛調査で設定した日当たり施工量をもとに各工種に必要な日数を自動算出し、工程を設定することで工事に必要な工期を算出する工期設定支援システムを導入する。また工事の準備や後片付けに必要な標準期間を実態調査に基づき改善し、7工種で試行を行う。
週休2日モデル工事も拡大し、契約済みや受注者の希望で選択できる案件を含め全国で630件を週休2日制が採用できるモデル工事に設定する。
総合評価落札方式の一括審査の活用では、補正予算で約110件(275工事)を追加。受発注者の負担軽減を図り、受注企業の偏りを減らす。
工事書類の簡素化では、作成する書類の削減や検査時の重複確認を廃止することで監督・検査の合理化を目指す。
さらに3者会議や工程調整会議に専門工事業者が参加する試行も始める。全体工事工程に影響を与える工種や特殊な工法などを担当している場合が対象になる見通しだ。
国交省が打ち出した取り組みに対して、日本建設業連合会(日建連)の宮本洋一・土木本部長は、今後、現場で確実に浸透し、効果が発揮されることを期待しながら「日建連としてきめ細かいフォローアップに努めたい」とコメントした。
〈記者の眼〉
昨年度末に資格保有者が33職種で約5万人となった登録基幹技能者の活用に国交省が本腰を入れた格好だ。従来は約4割の直轄工事で評価していたものが、補正とはいえ7割まで試行件数が増えることの意味は大きい。基幹技能者部分の配点は元請けの企業の能力等の評価で加算される。つまり元請企業に活用するメリットが生じることになる。登録基幹技能者は地方自治体や地場ゼネコンで認知度が低く、活用が進まない現状がある。配点などの課題はあるが、国交省の取り組みを通じて発注者、元請企業、基幹技能者がメリットを感じることができれば、さらに波及する可能性が高い。特に評価制度を導入しながら活用実績がない自治体での積極的な活用を期待したい。