【復興CM方式】 工期短縮で大きな効果あり
2016/11/14建設時事
建設メール
国土交通省が9月に設置した東日本復興CM方式に関する研究会において事業の課題に対応した新たな契約方式の可能性の検討が進んでいる。11日に開かれた2回目の会合では、岩手県宮古市と日本建設業連合会(日建連)が復興CM方式の取り組み事例を報告し、工期短縮で大きな効果があったことが紹介された。
東日本大震災の復旧は、大規模な公共工事を発注した経験がない被災市町における早期着工・早期完了が必達目標だったが、事業量が急激に増加し、人手が不足する中で従来の発注方式では早期復興に限界があった。そこで早期復興に加えて工期短縮で懸念される問題点を解消するため、12市町が復興CM方式を導入した。
日建連が報告した宮城県女川町の震災復興事業では、復興まちづくりの事業主体となる女川町から事業委託されたUR都市機構が、コンストラクション・マネージャー(CMR)の鹿島・オオバJVと「工事施工等に関する一体的業務」の基本協定を締結。同JVが計画修正・提案、工程検討、発注、管理を担当し、調査会社や専門工事業者、地元企業とそれぞれ工事請負契約などを結んだ。必要業務の洗い出しや事業展開の確認、マスタースケジュールの作成、縦割事業者間調整、早期調達管理、全体の設計完了を待たずに設計が終わった部分から工事に着手するファストトラック方式を最大限活用した結果、大幅な工期短縮につながったという。
研究会では復興CM方式導入地区の効果事例をもとに評価を行い、今後の活用に向けた新たな枠組み・課題を整理することで、大規模災害後の復興事業への適用に加え、通常の公共工事における新たな契約方式の可能性についても検討する。