【公共事業+記者の眼】 自治体の契約率9月末までで6割にとどまる
2016/11/15記者の目/論説
建設メール
総務省が公表した47都道府県と全市区町村を対象とした公共事業施行状況によると、9月末までの契約率は60・8%で、前年同期の58・8%を2ポイント上回った。本年度の公共事業予算は安倍総理が9月末までに約8割の契約締結を目標とする過去最大規模の早期執行を指示し、同調する地方自治体もあったが、前年度をわずかに上回る程度にとどまった。
内訳は都道府県が64・0%で前年同期比3・8ポイント増、指定都市が64・5%で同比2・3ポイント増、市区町村は56・8%で同比0・3ポイント増だった。
関東甲信越の都県別契約率は◇茨城県80・9%◇栃木県65・4%◇群馬県67・9%◇埼玉県53・1%◇千葉県64・3%◇東京都56・4%◇神奈川県66・0%◇新潟県49・8%◇山梨県71・7%◇長野県72・5%となる。
また、予算計上額に対する支出済額の割合は19・2%で、前年同期比0・9ポイント増加した。
〈記者の眼〉
9月末までで契約率が8割を超えた都道府県は茨城県、富山県、福岡県にとどまった。ただ関東甲信越の契約率のうち前年度繰越額分だけで見ると、長野県の96・3%を筆頭に東京都と群馬県が95%を超え、埼玉県を除いた1都8県が80%を超えるなど繰越分の早期執行に力を入れた様子がうかがえる。本年度は国の第2次補正予算に伴い、各自治体で臨時補正予算を編成する動きが進んでいる。円滑な入札契約に加え、来年度当初の施工確保に向けて財政部局や議会とも連携した施工時期の平準化への積極的な取り組みが期待される。